さっき「冗談」と言ったのに、これじゃあ、まるで意味がない。


黙り続けてちょうど1時間。


テトラポットの懐かしい景色が広がって、ぽつぽつと民家も見えてきた。


町に着いてしまう。

何のフォローも出来ないまま……。


どうしよう。

このまま家に着いて別れたら、その後がもっと気まずい。



何か話さなきゃ……。

何か……。



少しずつ見えてくる商店街に、焦りを感じていた時、それまでカラカラ鳴っていた車輪の音が止まった。