まばたきをするのも忘れて、真顔のままの悠太を見つめた。

それに気が付いた悠太が私を見て笑う。


「……なーんてな、嘘だよ」


ズボンに付いた砂を払いながら、悠太が立ち上がる。

私は立ち上がれなかった。

悠太の言葉が、表情が、頭の中で何度も何度もエコーして聞こえる。




聞き間違い……じゃないよね……?




「そろそろ帰るかー」



水平線から顔を出し始めた朝日を見ながら、悠太が大きく伸びた。


空が薄紫色に染まっていた。