「くだらない事で喧嘩してさ……」


「くだらなくないよ!! 陸が勝手に私の日記持って行ったんだもん」


「志津が日記帳に《国語》なんて書いてるからだよ」


「それは、カモフラージュ!! 誰にも見られないように……」


「何、見られちゃまずい事でも書いてあったの?」


核心を付かれて体がびくっとした。


「……わ、悪口とかねっ」


「ひぃー、志津恐えー!!」


悠太がはしゃぎながら笑う。


……嘘だよ。


本当は、悠太のことばっかり書いてあった。

悠太が好きなんて誰にも打ち明けられなくて、誰にも言えない気持ちを日記に綴っていたんだ。


思い出しても恥ずかしくて、顔が火照ってくる。


ああ。もう何であんなもの書いていたんだろう。


「志津、めっちゃキレて陸の事ぼっこぼこにしたろ?」


「だって陸が悪いんだもん!!」