ベッドに乗せられた右足首は、紫色にぼっこりと腫れている。

足の上にはビニール袋に詰められた氷。

一瞬言葉を失った。


「あ……お、折れてる……の……?」


右足に目線を落として陸が言う。


「これから病院行くけど、多分捻挫だろうって」


「そっか……」


骨折してなくて良かった……。

そんな事を思ったけど、言えるはずが無い。

もう……試合には出られないんだ。

必死で言葉を探す私より先に、陸が半笑いで呟いた。


「悠太なら、こんなダセェこと絶対しないのにな……」


「……」


右足を笑って見つめたまま陸が続けた。


「今までの練習、全部無駄になっちゃったなー」


「……」