面倒だけれど、暇だしまぁいいか、と渋々校舎に向かって歩き出す。


「あ、志津ー」


後ろから陸が呼んでいる。

うんざりして振り向いた。


「何! まだ何かあるの!?」


「ロッカーに俺のパーカー掛かってるから、着てもいいよ」


ぶっきらぼうにそう言うと、またシュート練習を始めた。


「……ふうん」


なんだ。


素直にパーカー貸してやるって言えばいいのに。

陸が珍しく優しい。
嬉しくて、私は鼻歌まじりに教室まで向かった。