「誰を呼び出そうか考えた時…全然迷わなかったんだ。面白いよな」


「…柚は?」



そう聞くと、ちょっと微笑んで首を横に振ってみせる。


…その理由は、なんとなくわかるような気がした。




「だめだ。…陸上部員の中で大人な奴がお前以外にいない」


「そりゃ光栄」


「だろ?」





公園は、早朝だからか誰も人がいなかった。


犬の散歩ぐらい、誰かしらしていそうに思ったけど。




―――誰も邪魔しないことを願って止まない。



こいつが最後の言葉を、紡ぐのを。