【世界最強のゴーレムマスターバブ】~前世、親に恵まれなかった僕、異世界に転生したら優しい家族に囲まれて幸せなので恩返ししたい~

 僕はそれから毎日のようにフィギュアサイズのミニゴーレムたちを創って遊んでいた。

 たくさんのゴーレムを創り出して行進させたり、ベビーベッドの柵の上に登らせてみたり、いろいろ動かして遊んでみた。

 僕自身がまだ赤ちゃんであんまり動けないから、代わりにゴーレムたちを動かして遊んでいるんだ。

「てい!」

 そろそろ魔力がなくなるから、棚に戻しておかないと。

 僕はゴーレムたちに指示を出すと、ゴーレムたちが協力して赤ちゃんベッドから降りていく。その行く先は、大きな棚だ。

 僕の見えるところには大きな棚が置かれ、そこには整然とゴーレムたちが並んでいた。

 たぶんだけど、お父さんとお母さんは、僕がゴーレムを創っていることに気が付いているんだと思う。

 僕はゴーレムを創ると、MPというか、魔力の塊を消費して眠たくなってしまう。

 だから、ゴーレムたちを生み出したらそのまま寝ちゃっていたんだけど……。次に起きた時には、ゴーレムたちが奇麗に棚の上に片付けられていた。

 たぶん、状況的に僕が創ったものだとお母さんもお父さんもわかったはずだ。

 この世界では、魔法で何かを作るのが普通なのか、僕は叱られることはなかった。

 叱られないってことは、やっていいってことだよね!

 それ以来、僕は魔法を使えるのを隠すのを諦めて、ゴーレムたちを創り続けた。

 今では、お父さんが用意してくれた大きな棚に奇麗にゴーレムたちが並べられている。

 僕は棚に奇麗に収まるようにゴーレムたちを並べていく。

 僕はちゃんと片付けができる赤ちゃんなのだ。

「ん!」

 ちゃんとゴーレムたちを棚に片付けると、ちょうど魔力がなくなって、眠くなってきた。

「おあうー……」

 僕は眠気に逆らうことなく、そのまま目を閉じるのだった。


 ◇



「見ましたか?」

 わたくし、セシリア・ランドールは、共に寝室を覗いていた夫であるアドルフと、お義母様であるディアドラに問いかけました。

「ああ。見た」
「見ましたとも……」

 夫とお義母様の声が上から降ってきます。

 見上げると、二人はその目を大きく見開いて、床を行儀よく行進している土の人形たちを見ていました。

 この場には、わたくしと夫、お義母様、そして息子であるクラークしかいません。

 わたくしと夫、お義母様が何もしていないということは、あの土人形を動かしている犯人はたった一人……。

「クラーク……」

 まさかという思いはありました。

 ですが、まさか赤ちゃんであるクラークが魔法を、それもあんなに非常識な魔法の使い方をしているだなんて……!

 魔法は、詠唱、もしくは魔法陣を使って発動するものです。

 まだ赤ちゃんのクラークに魔法の呪文の詠唱は不可能のはず。

 そして土人形を生み出し、それを操るような魔法は、わたくしの知る限り存在しません。

 そこから導き出される答えは……。

「……明日、クラークをトバイアスの教会に連れて行く」
「アドルフ⁉」
「あなた……⁉」

 お義母様とわたくしは部屋を覗くのをやめて、夫に詰め寄ります。

 トバイアスはこの東部辺境領を支配するトバイアス辺境伯の領都です。そこには立派な教会があり、徳の高い僧侶の方々がおられます。

 そんな教会にクラークを連れて行く。

 それは、夫がクラークを悪魔憑きだと疑っているということです。

 さすがにこれにはわたくしもお義母様も黙っていられませんでした。

 たしかに、わたくしもクラークが悪魔憑きかもしれないと思ってしまいました。

 それでも、わたくしはクラークを守りたかった。

 あの子といると、わたくしはとても満たされた幸せな気持ちになります。

 あの柔らかいほっぺ。くすぐると笑いかけてくれるわたくしのかわいいかわいい天使。

 クラークを守るためだったらわたくしは自分を捨てることさえできます。

「クラークはわたくしがお腹を痛めて産んだあなたとの子ですよ⁉ それをそんな……。もしかしたら、クラークとんでもない魔法の天才かもしれないではないですか!」
「そうですよ、アドルフ! ランドール男爵家から悪魔憑きが出たなんてことになったら――――」
「落ち着いてください、母上、セシリア。オレはクラークが悪魔憑きだとは思っていません」
「「だったら――――」」

 あまりのことにお義母様と声が被ってしまいました。

「だからこそ、つまらない疑いは早く晴らすべきだ。だから、明日にでもトバイアスに旅立つ。これは、オレの領主としての決定だ」
「あなた……」
「セシリア、クラークは悪魔憑きなんかじゃない。オレはそう信じている。それに、もし悪魔憑きだったとしても、トバイアスほど大きな街の教会なら悪魔祓いをしてくれるはずだ。問題は何もない」

 自信満々にそう答える夫の姿を見て、わたくしもお義母様も少し冷静さを取り戻します。

「でも、アドルフ。教会への寄付金はどうするのですか? とてもではないですが、領地のお金では足りませんよ?」
「それは……」

 お義母様に問われると、途端に勢いを失くしてしまう夫。

 本当に大丈夫でしょうか?