いつも塩対応だった義弟の溺愛スイッチを押してしまったようです

 ふーん、そうか。佑士、こういうことやっちゃうタイプだったんだ。
 あの塩対応からは、全然想像もつかなかった。
 嫌、とかじゃなく、心がむず痒くて落ち着かなくて、なんだか叫び出したくなるような、そんな言語化しがたい気持ちがせり上がってくる。
 ちょっと考えてから、俺は周囲を見渡した。
 六人掛けの座席には、一番端に一人座っているだけ。向かい側には誰もいないし、大丈夫そうだ。
 俺は自分のスマホのカメラを起動させて、インカメにした。
 佑士の方に、ぐっと身を寄せる。

「玲?」

 戸惑ったように俺を呼んだ佑士をスルーして、シャッターを切った。
 不意打ちだけど、佑士は元がいいからこれくらいのハンデがあっていい。俺はキメ顔してやろっと。
 そのまま数枚撮ってから、一枚ずつ確認してみる。

「げ、佑士、圧倒的にビジュいいじゃん。いきなりなら変顔が激写出来るかもしれないって期待したのに」
「おまえな」

 ちょっと俺の方を向きかけて横顔になってるけど、顔面強い奴はどんな時でもカメラ写りいいのな。
 で、なんで俺はキメ顔をしたつもりなのに、絶妙に微妙なんだろうか。加工して盛るしかないのか。
 悩み出した俺の腕を、佑士がスマホの角で小突いた。

「全部こっちに送れ」
「えっ、全部?」
「ん」
「いいよ。でも、これはエンスタに上げるの禁止な。俺が面白い顔してるから」

 メッセージアプリのトークルームを開きながら釘を刺すと、佑士はスマホ画面から目を離さないまま唇の端を持ち上げた。

「上げたりしねえよ、勿体ねえし。これは、俺の」

 ……そのデレ、まだ慣れないわ。
 不意打ちを食らったのは、実は仕掛けた俺の方かもしれない。