部屋のベッドでうつ伏せになり、お気に入りの雑誌のページをめくる。
10代女子向けのカジュアルファッション雑誌で、Tシャツにだぼっとしたジーンズなど、ボーイッシュな感じの格好が多い。モデルさんは中性的な感じの人が多く、カッコよくて憧れる。
そんなカジュアルな雑誌にも、決まってメイクコーナーはある。
『自分らしいメイク♡』と大きく書かれたページに、流行りのリップや眉の描き方などが丁寧に写真つきで紹介されていた。
「メイク、したほうがいいのかなあ……」
ページを眺めながら、ぽつりと独り言をつぶやいた。
きっと、みんなが必要としているから、載っているんだ。
でも、やり方を知っても、友達に言われても、やっぱりする気にはなれなかった。
小さい頃は、可愛いものが大好きだった。
リボンやアクセサリーは数えきれないくらいたくさん持っていた。誕生日に子供用のメイクセットを買ってもらって、アイシャドウやリップを塗って楽しんでいたのを覚えている。
だけどある時から、可愛い格好をするのが苦手になってしまった。
淡い色合いの服を着るのも、スカートを履くのも、避けるようになった。高校の制服はいくつかの種類の中から選べたので、キュロットタイプを選んだ。
メイクが苦手なのも、たぶん同じ理由なのだろう。
小さい頃は何とも思わなかったのに、自分の顔のレベルがわかってきて、とたんに恥ずかしくなった。地味な顔立ちの自分が頑張って可愛くなろうとする行為が、恥ずかしいのだ。
沙保は、地味顔はメイクでカバーするしかない、と言う。
実際、沙保はどんどんメイクが上手くなっているのが見ていてわかるし、そんなふうに努力できるのはすごいな、と素直に思う。
地味だからといって努力することも諦めている私とは、大違いだった。
だけどその努力って、しなきゃいけないものなんだろうか。
何の努力もしていない私は、女子として失格なんだろうか。
私にはどうしても、メイクは可愛い子がもっと可愛くなるための道具のように思えてしまうのだ。


