「……嫌だな。ああいうの」
学校を出て少ししてから、美波が立ち止まって言った。
「私が誰と仲良くしたっていいじゃん。放っておいてほしい」
「ほんとだよ。ほっとけっての」
私は気にしていないふりをして、うんうんとうなずく。しっかり効いているくせに。
だけど、美波は止まらなかった。
「あんなこと言われて、悔しかった。釣り合いって何? 勝手なこと言わないでって言いたかったのに、言えなかった……」
美波がこんなに感情をむき出しにしているところを初めて見た。教室ではほとんど表情を変えないで、いつも涼しげな顔をしているのに。
美波の大きな瞳が潤んで、大粒の涙がこぼれる。長いまつ毛を濡らして、頬を伝って落ちていく。
「美波、泣いたらメイク落ちちゃうよ」
「だって、ムカつくんだもん〜……」
もう遅かった。涙でマスカラがとれて、美波の目の下は黒い涙を流したみたいにうっすらと黒く染まっていた。
それを見ているうちに私もつられて、結局一緒になって泣いてしまった。


