メイク・コンプレックス



 こんなきれいな女の子がこの世にいるんだ。

 彼女を初めて見たとき、衝撃を受けた。そんな誰もが見惚れてしまうような人は、テレビや雑誌の中にしか存在しないと思っていたから。

 でも、その子は私と同じ学校の、同じ教室の、斜め前の席に座っていた。

 色素の薄いさらさらとした長い髪に、白くてなめらかな肌。長いまつ毛に、くっきりとした大きな目。ふっくらとしたピンク色の唇。そこに座っているだけで存在感があって、自然とみんなが目を向けてしまう。

 そんな特別な女の子と平凡を絵に描いたような私には、一つだけ共通点があった。

“メイクをしないこと”だ。