菊池…、菊池…。大郷ではありふれた名前だ。その地域一帯、菊池一族なんて地区もあるくらい。
「菊池…?!」
俺は職員の連絡網を開いて、都市計画課の菊池部長の、住所を調べる。
「あの、『菊池』だ…!」
街コンのテナント契約を反故にした、町長派の菊池一族だ…!
つまり、俺から申請書を取り上げた都市計画課の菊池部長も町長派ってこと。
都市計画課は新道の駅を計画している部署だが、なぜその部長とあの石窯ピザの店が知り合いなんだ…?
訳がわからず、俺は思い切って結城に連絡することにした。
「でねぇ…!」
仕事中、メッセージを送ったが返信なし。終業後電話もしてみたが、折り返しなし。ひょっとして、俺がうっかり告白なんかしたから避けられているのかも…。
悲しくなって諦めかけた午後十時過ぎ、結城から着信が入った。
「黒澤くん、久しぶり~」
久しぶりの結城の声。でも、声が明らかに酔っぱらいの、それ…。
「結城さん、飲んでます?」
「うん。仕事の引き継ぎが終わって、送る会と励ます会みたいなのがあってさ~」
「じゃ、県庁のあたり?今から電車乗れるんですか?」
「無理だから今日はホテルに泊まって明日帰ろっかなって」
「ダメです!ちょっと、どこか店に入ってください!俺、迎えに行きます!」
「えー?!大郷から?!」
「一時間で着きますから!」
通話を切ると、ジャンバーとペットボトルの水を持って家を飛び出した。
夜道、真っ直ぐ車を走らせ、ぴったり一時間で結城を拾った。
「本当に黒澤くんだー!」
「いいから早く乗って!」
待っている間も飲んでいたらしく、さっき電話した時より酔っ払っている…。
「黒澤くん…。なんかいい匂い…」
「…風呂はいってたんで」
「ええ~、やば~」
「やばいのは結城さんでしょ!」
酔ってふざけている結城に、真面目な話が出来るのか不安になって来た。取り敢えず、用意していた水を渡す。
「結城さんに聞いてもらいたいことあって…」
「なになに~?」
「ちょっと、結城さん飲み過ぎ!もうそんなに飲むのやめて下さいね!また吐きますよ!?」
「あ、心配してくれた…?」
「……そうですけど…」
前を向いて運転しているが、結城の視線を感じる。恥ずかしくて、取り敢えず話題を逸らすため無理やり相談を始めた。
「今日あったことを聞いて欲しくて」
「今日のこと?」
「結城さんと行った石窯ピザ店の店長が、Uターン就職助成金の申請に来たんです。店員の女の子の分も委任状付きで、書類は完璧でした。でも、女の子からDMが来て、たまたま投稿を見たら、ずっと地元に住んでるぽくて。Uターン助成金は県外に出た人が対象なのに、ですよ?」
「女の子からDMきて投稿を見た…?」
「女の子はそれを隠すそぶりはないんですよ。だから、店が女の子の住所を偽装して勝手に申請して助成金を手に入れてるんじゃないかって…」
「そうなるとあの地産地消メニューも怪しい」
「そうなんですっ!!」
信号で止まると、俺は結城を見て、思わず叫んだ。
「それに結城さんもオーナーは東京で別店舗やってるって言ってたでしょ?でも確認したら創業支援金も受け取ってて。それで今日、事業計画書を見ないと助成金の支払いは通せないって店長に言ったら、都市計画課の部長に連絡されて!」
「都市計画課?」
「ええ……。都市計画課の菊池部長です」
「菊池…」
「しかも都市計画課の菊池部長はあの、菊池一族だったんです!」
「あの?」
「菊池さんて、街コンにテナントを貸すのを拒否した、オーナーで町長派の…!」
「黒澤くん…!」
ぼんやりしていた結城は急に起き上がると鞄から書類を取り出した。それは何かの図面のようだ。何か思うところがあるのか、それをじっと眺めている。
やがて、雨が降り出した。車内にはワイパーが動く音だけが響く。どのくらい時間が経ったのか、まもなく大郷の南端に差し掛かった。
「黒澤くん、そのUターン申請書は今どこにある?」
「さあ。申請書は取り上げられたあと、どうなったか確認してません」
「取り上げられた?!」
結城はひどく慌てた様子で、書類から顔を上げた。
「抵抗したんだけど、菊池部長がすごい剣幕で…」
「怒鳴られた、とか?」
「そう…。ミーティングルームに押し込まれて、お前だって大郷漆保存会の会長やって補助金使い込んでるんだろ、とか言われて…」
「黒澤くん…!」
まだ話の途中で、結城は俺の名前を呼び話を遮る。チラリと隣を見ると、彼はかなり不機嫌そうな顔をしていた。
「ミーティングルームに押し込められて怒鳴られるとか、なんでそんな事に?!」
「今日石窯ピザ屋に事業計画書をくれって直接言いに行ったら連れ戻されて、それで」
「不正なんかしてるやばいやつのところに直接行ったの?!なんて無茶するんだ!何かあったらどうするんだ!」
「だって街コン企画して大郷のために頑張ってて実際家買って住んでる結城さんが『住んでない』って批判されてるのに、嘘ついて住んでもないのに助成金を貰うなんて許せないだろ!」
俺は運転しながらカッとなって言い返した。
言い過ぎたと思い、もう一度ちらっと横を見ると、驚いた顔の結城と目が合う。
結城は悪く無いのに強く言ってしまい気まずくて、俺は視線を逸らした。そのまま沈黙していると、大郷の中心部を通過して、結城の住んでいる地区へ入る。俺は前回と同じ、少し離れたところで車を止めた。
「結城さん、着きました」
結城はすぐに降りなかった。俺の方を見て、静かに話し始める。
「黒澤くん、あのさ。真面目な話だけど、選挙って怖いよ。公共工事の利害で対立候補に嫌がらせなんてあるあるだし…。昔、県会議員事務所で乱闘騒ぎもあっただろ?だから無茶なことは絶対、やめてほしい。俺が漆塗り保存会の体験会を街コンでしようって巻き込んだくせにこんな事言って勝手だとはわかってる。でも、次は脅しだけで済まないかもしれない…。選挙が終わるまで会わないようにしよう。その方がいい。今日みたいなことは、やめよう」
結城に咎められると、批判されたような気がして悲しくなってしまう。俺はそれを誤魔化すように結城を睨んだ。
「今日迎えに来たのは、結城さんのせいですよ!だって俺、言いましたよね?!大郷に住んでないのは地雷だって。それなのにまんまと地雷踏んで後援会の人集めも苦労してるって聞いて…。それなのに今日もまた酔っ払って泊まろうとして…っ!」
「それでわざわざ、迎えに来てくれたんだ…?」
「え…?」
睨んで嫌味を言ったはずなのに、結城は優しい顔で俺に聞き返した。
「ま、まあ、一時間くらいだし…」
「お風呂上がりに、わざわざ、俺のために…?」
別に大郷に住んでたら一時間くらいはなんて事ない。しかし強調されると、先日うっかり告白してしまったこともあって、いたたまれなくなる。
「女の子のDM見たのも、俺のため?」
「結果的には…」
運転もしていないし手持ち無沙汰になった俺は、ワイパーをオフにした。すると、車内が雨音だけになってしまい、少し後悔する。
「黒澤くん…、俺さ、今かなり浮かれてる。舞いあがってるっていうか、増長してるっていうか…、ええと…」
結城の声は掠れて、少し低くなった。横を向くと、結城はトロンとした顔で微笑んでいる。
「黒澤くん、キスしていい?」
「え…?」
「キスしたいんだけど。しても…、いい…?」
何言ってんだ、酔っ払い…。
そう言って断ればよかったのだが、熱に浮かされたような顔で囁かれて、思わず頷いてしまった。
頷いてから顔を上げるより前に、結城は手早くシートベルトを外して、俺に覆い被さるようにキスをした。
唇の感触を確かめるように、何度か角度を変えてキスする。
「ん…、…っ…」
キスなんか初めてで息継ぎが分からない。吐息混じりに息を吸うと、結城は一度唇を離した。しかし、息を吸うのが恥ずかしいくらい、まだ距離が近い。
「黒澤くん、好きだ」
それ、本当に俺のことなのか…?
結城の目に、今は俺しか写っていない。
確かめるようにじっと見つめると、もう一度、今度はそっとキスされる。頬に手が添えられ、愛しそうに撫でられながら、少しだけ唇を吸われた。驚いて目を開けると、また好き、って囁かれる。
これ以上は怖い気もする。でも、見つめ合うと吸い寄せられてしまう。離れたくない。もっと触れ合っていたい。
次第に雨が強くなって来た。
お互いの吐息と唇が重なる音を掻き消すように、雨音が響く。キスに夢中になっていたが、停車する車の前を対向車が通り過ぎ、ライトの光が眩しくてはっとした。
すると名残惜しそうに、結城は唇を離した。そしてそのまま至近距離で見つめ合う。
「黒澤くん、好きです。選挙が終わったら、俺の恋人になってください」
「え……?」
結城が俺を好き…?ーー嬉しい。すごく、嬉しい。だって俺も結城が好きだ。まさか、自分が好きになった人に告白されるなんて…。ずっとそんなこと無理だと諦めていた。これ、本当?本当に現実なのか…?
「……」
だから俺は何も言えなかった。信じられなかったのだ。
「あ、えっと、ごめん。興奮して順番がぐちゃぐちゃになった。返事は選挙の後でいいから…。それまで、連絡取らない方が安全だと思うし」
結城はいつものように笑顔で車を降りると、雨の中、走って帰っていった。
「菊池…?!」
俺は職員の連絡網を開いて、都市計画課の菊池部長の、住所を調べる。
「あの、『菊池』だ…!」
街コンのテナント契約を反故にした、町長派の菊池一族だ…!
つまり、俺から申請書を取り上げた都市計画課の菊池部長も町長派ってこと。
都市計画課は新道の駅を計画している部署だが、なぜその部長とあの石窯ピザの店が知り合いなんだ…?
訳がわからず、俺は思い切って結城に連絡することにした。
「でねぇ…!」
仕事中、メッセージを送ったが返信なし。終業後電話もしてみたが、折り返しなし。ひょっとして、俺がうっかり告白なんかしたから避けられているのかも…。
悲しくなって諦めかけた午後十時過ぎ、結城から着信が入った。
「黒澤くん、久しぶり~」
久しぶりの結城の声。でも、声が明らかに酔っぱらいの、それ…。
「結城さん、飲んでます?」
「うん。仕事の引き継ぎが終わって、送る会と励ます会みたいなのがあってさ~」
「じゃ、県庁のあたり?今から電車乗れるんですか?」
「無理だから今日はホテルに泊まって明日帰ろっかなって」
「ダメです!ちょっと、どこか店に入ってください!俺、迎えに行きます!」
「えー?!大郷から?!」
「一時間で着きますから!」
通話を切ると、ジャンバーとペットボトルの水を持って家を飛び出した。
夜道、真っ直ぐ車を走らせ、ぴったり一時間で結城を拾った。
「本当に黒澤くんだー!」
「いいから早く乗って!」
待っている間も飲んでいたらしく、さっき電話した時より酔っ払っている…。
「黒澤くん…。なんかいい匂い…」
「…風呂はいってたんで」
「ええ~、やば~」
「やばいのは結城さんでしょ!」
酔ってふざけている結城に、真面目な話が出来るのか不安になって来た。取り敢えず、用意していた水を渡す。
「結城さんに聞いてもらいたいことあって…」
「なになに~?」
「ちょっと、結城さん飲み過ぎ!もうそんなに飲むのやめて下さいね!また吐きますよ!?」
「あ、心配してくれた…?」
「……そうですけど…」
前を向いて運転しているが、結城の視線を感じる。恥ずかしくて、取り敢えず話題を逸らすため無理やり相談を始めた。
「今日あったことを聞いて欲しくて」
「今日のこと?」
「結城さんと行った石窯ピザ店の店長が、Uターン就職助成金の申請に来たんです。店員の女の子の分も委任状付きで、書類は完璧でした。でも、女の子からDMが来て、たまたま投稿を見たら、ずっと地元に住んでるぽくて。Uターン助成金は県外に出た人が対象なのに、ですよ?」
「女の子からDMきて投稿を見た…?」
「女の子はそれを隠すそぶりはないんですよ。だから、店が女の子の住所を偽装して勝手に申請して助成金を手に入れてるんじゃないかって…」
「そうなるとあの地産地消メニューも怪しい」
「そうなんですっ!!」
信号で止まると、俺は結城を見て、思わず叫んだ。
「それに結城さんもオーナーは東京で別店舗やってるって言ってたでしょ?でも確認したら創業支援金も受け取ってて。それで今日、事業計画書を見ないと助成金の支払いは通せないって店長に言ったら、都市計画課の部長に連絡されて!」
「都市計画課?」
「ええ……。都市計画課の菊池部長です」
「菊池…」
「しかも都市計画課の菊池部長はあの、菊池一族だったんです!」
「あの?」
「菊池さんて、街コンにテナントを貸すのを拒否した、オーナーで町長派の…!」
「黒澤くん…!」
ぼんやりしていた結城は急に起き上がると鞄から書類を取り出した。それは何かの図面のようだ。何か思うところがあるのか、それをじっと眺めている。
やがて、雨が降り出した。車内にはワイパーが動く音だけが響く。どのくらい時間が経ったのか、まもなく大郷の南端に差し掛かった。
「黒澤くん、そのUターン申請書は今どこにある?」
「さあ。申請書は取り上げられたあと、どうなったか確認してません」
「取り上げられた?!」
結城はひどく慌てた様子で、書類から顔を上げた。
「抵抗したんだけど、菊池部長がすごい剣幕で…」
「怒鳴られた、とか?」
「そう…。ミーティングルームに押し込まれて、お前だって大郷漆保存会の会長やって補助金使い込んでるんだろ、とか言われて…」
「黒澤くん…!」
まだ話の途中で、結城は俺の名前を呼び話を遮る。チラリと隣を見ると、彼はかなり不機嫌そうな顔をしていた。
「ミーティングルームに押し込められて怒鳴られるとか、なんでそんな事に?!」
「今日石窯ピザ屋に事業計画書をくれって直接言いに行ったら連れ戻されて、それで」
「不正なんかしてるやばいやつのところに直接行ったの?!なんて無茶するんだ!何かあったらどうするんだ!」
「だって街コン企画して大郷のために頑張ってて実際家買って住んでる結城さんが『住んでない』って批判されてるのに、嘘ついて住んでもないのに助成金を貰うなんて許せないだろ!」
俺は運転しながらカッとなって言い返した。
言い過ぎたと思い、もう一度ちらっと横を見ると、驚いた顔の結城と目が合う。
結城は悪く無いのに強く言ってしまい気まずくて、俺は視線を逸らした。そのまま沈黙していると、大郷の中心部を通過して、結城の住んでいる地区へ入る。俺は前回と同じ、少し離れたところで車を止めた。
「結城さん、着きました」
結城はすぐに降りなかった。俺の方を見て、静かに話し始める。
「黒澤くん、あのさ。真面目な話だけど、選挙って怖いよ。公共工事の利害で対立候補に嫌がらせなんてあるあるだし…。昔、県会議員事務所で乱闘騒ぎもあっただろ?だから無茶なことは絶対、やめてほしい。俺が漆塗り保存会の体験会を街コンでしようって巻き込んだくせにこんな事言って勝手だとはわかってる。でも、次は脅しだけで済まないかもしれない…。選挙が終わるまで会わないようにしよう。その方がいい。今日みたいなことは、やめよう」
結城に咎められると、批判されたような気がして悲しくなってしまう。俺はそれを誤魔化すように結城を睨んだ。
「今日迎えに来たのは、結城さんのせいですよ!だって俺、言いましたよね?!大郷に住んでないのは地雷だって。それなのにまんまと地雷踏んで後援会の人集めも苦労してるって聞いて…。それなのに今日もまた酔っ払って泊まろうとして…っ!」
「それでわざわざ、迎えに来てくれたんだ…?」
「え…?」
睨んで嫌味を言ったはずなのに、結城は優しい顔で俺に聞き返した。
「ま、まあ、一時間くらいだし…」
「お風呂上がりに、わざわざ、俺のために…?」
別に大郷に住んでたら一時間くらいはなんて事ない。しかし強調されると、先日うっかり告白してしまったこともあって、いたたまれなくなる。
「女の子のDM見たのも、俺のため?」
「結果的には…」
運転もしていないし手持ち無沙汰になった俺は、ワイパーをオフにした。すると、車内が雨音だけになってしまい、少し後悔する。
「黒澤くん…、俺さ、今かなり浮かれてる。舞いあがってるっていうか、増長してるっていうか…、ええと…」
結城の声は掠れて、少し低くなった。横を向くと、結城はトロンとした顔で微笑んでいる。
「黒澤くん、キスしていい?」
「え…?」
「キスしたいんだけど。しても…、いい…?」
何言ってんだ、酔っ払い…。
そう言って断ればよかったのだが、熱に浮かされたような顔で囁かれて、思わず頷いてしまった。
頷いてから顔を上げるより前に、結城は手早くシートベルトを外して、俺に覆い被さるようにキスをした。
唇の感触を確かめるように、何度か角度を変えてキスする。
「ん…、…っ…」
キスなんか初めてで息継ぎが分からない。吐息混じりに息を吸うと、結城は一度唇を離した。しかし、息を吸うのが恥ずかしいくらい、まだ距離が近い。
「黒澤くん、好きだ」
それ、本当に俺のことなのか…?
結城の目に、今は俺しか写っていない。
確かめるようにじっと見つめると、もう一度、今度はそっとキスされる。頬に手が添えられ、愛しそうに撫でられながら、少しだけ唇を吸われた。驚いて目を開けると、また好き、って囁かれる。
これ以上は怖い気もする。でも、見つめ合うと吸い寄せられてしまう。離れたくない。もっと触れ合っていたい。
次第に雨が強くなって来た。
お互いの吐息と唇が重なる音を掻き消すように、雨音が響く。キスに夢中になっていたが、停車する車の前を対向車が通り過ぎ、ライトの光が眩しくてはっとした。
すると名残惜しそうに、結城は唇を離した。そしてそのまま至近距離で見つめ合う。
「黒澤くん、好きです。選挙が終わったら、俺の恋人になってください」
「え……?」
結城が俺を好き…?ーー嬉しい。すごく、嬉しい。だって俺も結城が好きだ。まさか、自分が好きになった人に告白されるなんて…。ずっとそんなこと無理だと諦めていた。これ、本当?本当に現実なのか…?
「……」
だから俺は何も言えなかった。信じられなかったのだ。
「あ、えっと、ごめん。興奮して順番がぐちゃぐちゃになった。返事は選挙の後でいいから…。それまで、連絡取らない方が安全だと思うし」
結城はいつものように笑顔で車を降りると、雨の中、走って帰っていった。

