プレゼント・フォー・ユー!

 再び、ノックが鳴る。

 今度は女性がはあい、と声を上げてから、ドアが開かれた。

 先ほどと同じく、控えめに。

 扉口から顔をのぞかせたのは、やはり羽夜だ。

 女性はほほ笑むと、


「何かあったの、羽夜」


 優しく問いかけた。

 すると羽夜は少し迷うようなそぶりを見せた後、へへっと笑い、


「何でもない! ちょっとしたお小言? みたいな」

「あらあら。それは嫌だったねぇ」

「ほんとだよ。私も分かってることだったのにさぁ」


 羽夜は少し唇を尖らせながら女性に愚痴る。

 女性はそれを受け止めながら、編み物をするために視線を落とした。


 しばらくそうしていたが、やがて羽夜が椅子にも座らず、どこかもじもじとしながらその場に立っていることに気づいた。

 顔をあげると、羽夜が面映ゆいような面持ちで、女性を見つめている。


「おばあちゃん」


 羽夜が女性の視線を受けて、そう呼び掛けた。

 女性は編み物をやめ、それをテーブルの上に置いた。

 そして、まっすぐに羽夜を見つめた。

 優しい微笑みを、その頬に浮かべて。


「なにかあった?」

 すると、少し視線を逸らしながら、羽夜が何かを差し出してきた。

 彼女の手に何かがあったことを、女性は気づけなかった。

 おや? と思いながら、それを見る。


「そ、その……敬老の日だからって、お母さんと相談して作ったの。……お、おばあちゃんみたいにうまくできなかったんだけど! 来年は、もっと頑張って綺麗なの作るから」


 言い訳じみたことを言い、頬を少し赤くしながらそう羽夜は言った。