「何? そうやって泣き顔を見せて、黒崎くんに心配されたいとか思ってんの?」
グループの中の一人が冷たい手で私の胸ぐらを掴み上げ、壁へと押し付けた。
苦しくて息がうまく吸えない。
「黒崎くんに泣き顔とか絶対見せんなよ。もし私たちが何か言ったとかチクったら、どうなるか分かってるよね?」
そう酷い捨て台詞を残すと、彼女は乱暴に手を離した。
支えを失った私の体は虚しくよろけ、冷たい廊下の床の上に激しく崩れ落ちた。
膝と肘を打った痛みよりも、胸の奥を激痛が突き抜ける。
溢れ出した涙は途切れることなく、ぽろぽろと頬を伝って床に落ちていく。
……自分の気持ちなんて、全部殺さなきゃダメなんだ。
私が自由に笑ったり、誰かと話したり、幸せを望んだりしたらダメなんだ。
結局、前の学校でも、この新しい学校でも、何も変わりはしない。
私はどこへ行ったって、いつも誰かに踏みにじられて、追いつめられる運命にある人間なのだから。
従うんだ。
……彼女たちの言葉に、素直に従え。
そうやって息を潜めて従っていれば、いつか私に興味を失って見放してくれるかもしれない。
そうすれば……嵐が過ぎ去るみたいに、平穏な日常が戻ってくるかもしれない。
この小さな居場所で静かに今日という一日を終わらせることができるなら、私はいくらだって我慢する。
勝ち誇ったように笑い合いながら去っていく彼女たちの背中を薄暗い床の上で見つめながら、私は自分の感情のスイッチを、静かに、そして完全に切った。



