蛍の季節に、キミはまた会いに来る


強く否定できればいいのに、私の口から出てくるのは、自分でも途中で嫌になるくらい嘘っぽくて情けない弁明ばかりだ。

「本当に……たまたま、会っただけで……」

腕組みをして私を取り囲む彼女たちの重圧に、胸が押し潰されそうになる。

「私と黒崎くんは、何の関係も……」
「そんなことは、どーでもいいんだよ」

踊り場に、どすの利いた原田さんの低い声が冷たく響き渡った。

「関係ないならさ、これ以上黒崎くんに近づくのやめてくんない?」

私をあざ笑うかのように、取り巻きの3人が「クスッ」と嫌な鼻笑いを漏らす。
私は固く唇を噛み締め、制服の紺色のスカートを両手でギュッと握りしめて俯くことしかできない。

「自分から関係ないって言ってるくせに、黒崎くんに付きまとう意味がわかんないんだけど」
「ほんとそれ。必死に気を引こうとしてるのが丸分かりで、見ててこっちが恥ずかしくなるよねー」
「黒崎くんが迷惑がってるのに気づかないとか、マジでヤバくない?」

4人は口々に好き勝手な悪口を並べ立てて、楽しそうにクスクスと笑い転げている。

……でも、私は彼女たちの言葉を否定することができなかった。
だって……私自身もどこかで黒崎くんにこれ以上近づかない方がいいって思ってしまっているから。

ちょっと優しく接してもらっただけで、勘違いして恋に落ちそうになっていた自分が急に恐ろしく恥ずかしくなり、それと同時に惨めさがこみ上げて目頭が熱くなった。

ああ、やっぱり私は、どこへ行ったってうまくやってなんていけないんだ。
どんなにやり直そうとしても、結局たどり着く結果はいつも同じ。

誰からも仲間外れにされて、影で悪口を言われて、居場所を奪われる。
やっぱり……この学校にも、この街にも、私の居場所なんて最初からどこにもなかったんだ……。