それからの時間は、まるで夢のようにあっという間だった。
行き先を細かく決めていなかった黒崎くんに連れられ、昔ながらの駄菓子屋、この街にひとつしかない小さなゲームセンター、そして地元のショッピングモール。
気になるところを片っ端から巡った。
途中で焼きたてのたこ焼きを分け合ったり、甘いクレープを頬張ったり。
交わすのは、本当にたわいもない会話ばかり。
でも、それが信じられないくらい楽しかった。
そしてデートの最後、私たちはホタルがたくさん見られるという、この前みんなで清掃したばかりのあの川辺へとやって来た。
空はもう、茜色から深い青紫色へと染まりつつあった。
静かに流れる川のせせらぎが全身を優しく包み込み、私は思わず目を閉じて深く息を吸い込む。
川辺の葉や、土のほんのり湿った懐かしい匂い。
——学校での恐怖や人目なんて、この瞬間だけは完全に忘れることができていた。



