蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「なになに? そんなに俺のこと見つめちゃってさ」

瀬戸くんにニヤニヤしながら言われて、ハッと我に返った。
彼の言う通り、私は男子の自由な距離感を羨ましがるあまり、ずっと彼の横顔をまじまじと見つめてしまっていたらしい。

「もしかして……俺に惚れちゃった?」
「ち、違いますっ!」

思わず大げさな声を上げて否定してしまい、瀬戸くんは満足そうに「ハハッ!」と冗談めかして笑った。

そうこうしているうちに、今日の目的地である清掃作業場所の川辺へと到着した。
すでにほとんどの生徒が集まっており、各自の手には軍手と大きなゴミ袋が握られている。

「悪い悪い、ちょっと遅くなったー!」

瀬戸くんが、人の輪の中にいた原田さんに向かってひょいひょいと駆け寄っていく。
その瞬間、私の身体はギュッと硬くなり、一気に最大級の警戒モードへと切り替わった。

「もう、遅いよぉ。……はいこれ、瀬戸くんたちの分のゴミ袋。すぐに始められるように準備しておいたから」
「おー! サンキュー! 相変わらず気が利くねぇ、真衣ちゃん!」

……相変わらずチャラいねぇ、瀬戸くん。

私は心の中で、さっき彼が私にやってきたみたいに、両手の人差し指で瀬戸くんの背中をクイクイと突っついてやった。
……もちろん、絶対に表に出して言えるような度胸はないけれど。