蛍の季節に、キミはまた会いに来る


翌朝、教室の扉を開けた瞬間、やっぱり、彼女は私を鋭い目で睨みつけていた。

彼女の席の周りにはいつもの仲良しグループ4人が群がっていて、チラチラとこちらを見下しながらヒソヒソと低音で噂話をしている。
……ああ、もう私の学校生活は終わったのかもしれない。
ここでもまた、あのイジメが始まってしまう……。
クラスの最上位に君臨する彼女たちに目をつけられたら、スクールライフの終わりなんて当然の結果だ。

しかも……こんな絶望的な日に限って、黒崎くんはいつまで経っても登校してこない。

昨日、『この人なら信じてもいいのかもしれない』なんて一瞬でも期待してしまった私が、あまりにも浅はかで馬鹿だった。
他人に心を開いたり、簡単に信頼なんて寄せてはいけない。
それは、前の学校での地獄のような日々で痛いほど学んだはずだったのに……。

朝のホームルームを告げるチャイムが鳴り響いてからも、彼女たちの冷酷な視線は私に突き刺さったままだった。
一体、あそこでどんな恐ろしい計画を話し合っていたのだろう。
私をこの学校から、いや、この街からどうやって抹消するかという相談だろうか……。

私は諦め混じりの大きな溜め息を吐き出すと、強く目を閉じた。



そして——。
清掃作業の当日。

清掃場所である川辺の詳しい位置が分からない私のために、瀬戸くんがわざわざ「学校まで迎えに行ってあげるよ」と言ってくれた。
本当は現地集合の予定だったのだけれど……。

……こういうとき、本当は黒崎くんが来るべきなんじゃないの?

なんて、柄にもなくそんな過剰な期待を抱いてしまう自分がいてハッとする。
無視して関わりたくない相手だと自分に言い聞かせているくせに、昨日からスマホを握りしめ、LINEの通知画面に彼の名前が浮かび上がってこないかと待っている自分がいることに、自分自身で一番驚いてしまう。

空は雲ひとつなく晴れ渡り、暑すぎず、心地よい風が頬を撫でていく。

……絶好の、お掃除日和になりそうだ。