……はい?
この人、頭は大丈夫?
一体何がどうなって、一緒に帰るなんて結論に達したっていうの?
人の話を最後までロクに聞きもせず、勝手に話を進めてしまう人間が、私は一番大嫌いだ。
「いや、だから私は……」
「行くぞ」
「え、ちょっ……! 待ってってば!」
反論を言い切るより早く、強引に腕を引かれて身体が前のめりに傾いた。
廊下にぽつんと一人取り残された原田さんを思わず振り返ると、彼女もまた、自分の目の前で何が起きているのか理解が追いついていないような顔で立ち尽くしていた。
けれど……そのポカンとした表情が、見る見るうちに般若のような険しさへと変わっていく。
……これは、本当にやばい。
明日、間違いなく地獄のような何かが起こる。
ホタルを守る会のミーティングが終わってからの下校だったため、校内に残っている生徒の数はそう多くはなかった。
それでも、放課後の廊下にいた数人の生徒には、私が彼に腕を掴まれて引かれていく姿を完璧に目撃されてしまった。
私と黒崎くんを見つめるみんなの顔は、誰もがまったく同じ表情だった。
二度見をして、信じられないものを見たように見開かれる大きな瞳。
慌てて隣にいる友人の肩をバシバシと叩き、私たちを指差しながら「あり得ないことが起きている」と教室内へ異常事態を知らせている。
恐ろしいほどの焦りが、足元から一気に全身へと駆け巡った。
恐怖と焦燥感で心臓が激しく波打ち、指先までガタガタと震え出してしまう。
「ちょっと……お願いだから待ってよ! 突然こんなの……本当に困るからっ……!」



