ホームルームの時間に担任から告げられたのは、来週行われるという地域清掃作業のスケジュールだった。
今日の放課後に清掃活動へ参加するメンバーを集め、詳細な話し合いを行うらしい。
この学校が設立されてから60年もの間ずっと続けられている、伝統的な行事なのだとか……。
1クラスにつき4名ずつ、全学年合わせて計36名。
どうしてそうなったのか理解が追いつかないまま、私は今、黒崎くん、瀬戸くん、原田さんの三人とともに、放課後の空き教室にポツンと座っていた。
黒板には大きく『ホタルを守ろう』と書かれている。
それが今回の清掃のテーマだそうだ。
ホタルが生息できる環境を守るための清掃活動自体は、とても素晴らしい取り組みだと思う。
それに参加すること自体に不満はないけれど……問題なのは、このメンバー構成だ。
どうしてこんな、クラスの中心にいるような華やかで目立つメンバーの中に、気配を消したいはずの私が混ざっているのだろう……。
「ねぇ、この清掃活動さ、達也は去年も参加してるんだよ」
私が自分の席で小さくなってずっと黙り込んでいると、隣の瀬戸くんがひそひそ声で耳打ちしてきた。
……へぇ。としか言いようがない。
今の私にとっては、心底どうでもいい情報だ。
「この辺りのホタルはさ、他の地域じゃ滅多に見られない超貴重な種類なんだって」
『ホタルっていうのはね、水が綺麗で静かな場所にしか現れないんだよ』
瀬戸くんの言葉が耳に届いた瞬間、頭の奥深くで、小さく掠れたような昔の記憶がかすかに弾けた。
——幼い頃、お母さんが優しく教えてくれた言葉。
懐かしい子供の頃のお母さんの記憶と、この土地の風景が、静かに重なり始めていた。
『キレイでしょ? ホタルのひかり。みずがキレイだから、ほたるがみれるんだよ』



