蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「だぁ〜かぁ〜らぁ! 俺たちはその“前”の話が聞きたいの。なんで二人っきりでコソコソ会ってたわけ?」

……またしてもこの男は!

「古川が俺んちに来たからだよ。コソコソなんてしてねぇだろ別に。それに……俺たちがどこで何してようが、お前には関係ねぇだろ」

正しくは、あなたのおじいさんの家です。
それに、「俺たちがどこで何してようが」なんて、そんな変な誤解を生むような紛らわしい言い方は絶対にやめてほしい。

「え、なんで古川さんが達也んちに行ったの?」

ダメだ……。
この男子、気になったことは全部口に出さないと気が済まない5歳児とまったく一緒だ。
本人が納得して理解できるまで、永遠に質問攻めをやめないタイプだ。
教室中の痛烈な視線が私に集まり、これ以上怪しまれるわけにはいかないと、私は意を決して口を開いた。

「私は、お父さんから頼まれて……」

控えめに、けれど手短に弁明をしようとした——まさに、その瞬間。

キーンコーンカーンコーン……。

朝のホームルームの開始を告げるチャイムが、無情にも教室中に鳴り響いた。

タイミング、悪すぎる……!
あと5秒、あとたったの5秒だけ待ってよ、チャイム!

あと5秒私に時間をくれたら、言い訳の全容を言い切って誤解を解けていたのに……っ!