蛍の季節に、キミはまた会いに来る


黒崎くんも豊田さんに用事……?

だとしても、どうしてよりによってこのタイミングで現れるのよ!
世界中にこんなに人がいるのに、なんで今、一番会いたくなかった黒崎くんなの……!?

「……もしかして、じいちゃんに用事?」

え……。
じい、ちゃん……?
いま、確かに『じいちゃん』って言った……?
じいちゃんと言うことは、つまり……。
黒崎くんは、豊田さんの……ま、孫……っ!?

「えええっ!?」

声にならない叫びとともに、思いきり目を丸くして彼を見上げる。

「なんなんだよ、そんな顔コロコロ変えて見られたら、俺どう反応していいか分かんねぇんだけど」

黒崎くんに呆れ顔で指摘され、私は慌てて視線を逸らすと、行き場を失った泳ぎっぱなしの瞳を泳がせた。

「じいちゃんに用だったんだろ? ちょっと待ってろ。今、俺ん家にいるから呼んでくる」

……俺ん家にいる、って。

えっ、待って。
本当に頭の処理が追いつかない。

黒崎くんは豊田さんの孫で、豊田さんは黒崎くんのおじいちゃん。
しかも、何……?
ってことは、彼はお母さんの学生時代の親友の——息子ってこと……!?

嘘でしょ……!?

次々と繋がっていく事実と焦りが、一気に脳内に押し寄せて完全にパニックに陥る。