蛍の季節に、キミはまた会いに来る


「お昼のワイドショーを見てたら出てきたんだよ。世間のみんなはやってるんだろ? 写真を撮ってネットに載せるやつ」
「あははっ、ちょっと今更感あるけどね」

私が笑うと、お父さんは大袈裟に眉を寄せて肩をすくめてみせた。

「だから、少しでもその『SNS映え』ってやつをするように、盛り付けにもこだわったんだ。あ、もちろん味も期待してくれていいぞ」
「はーい」

お父さんの慣れない努力を讃えるように、パチパチと小さく拍手を送る。

「じゃあ早く食べよう。もうお腹ペコペコだよ」

ギュルル、と可愛気のない音を立てたお腹をさすりながら両手を合わせようとすると、お父さんが不満そうに眉をひそめた。

「……写真は撮らないのか?」
「え、なんで?」
「せっかく『映え』を狙ったのにか?」
「あ〜……」

言葉に詰まり、苦笑いが浮かぶ。

……私、SNSなんてやってないんだよね。

前の学校で嫌な思いをして、誰かのターゲットにされないように、アカウントは全部消してしまったから。

私は両手を合わせた格好のまま顔をひきつらせつつも、お父さんの健気な努力を無駄にしないために、「分かった分かった」とスマホを取り出して、目の前のハンバーグをパシャリとカメラに収めた。