「おはよう、紗希さん」
後日、昴は教室で私にそう声をかけた。
朝の些細な挨拶をしただけなのに、クラスメイトの視線が一気に集中した。
今まで私に話しかけた人は誰もいなかったし、お互いに下の名前で呼びあっているから余計だ。
「……おはよう、昴」
私も昴に挨拶を返した。
『あの2人っていつの間に付き合いだしたの?』
『秀才な陰キャ同士お似合いじゃない?』
そんな遠慮のない「心の声」が聞こえてくる。
できるだけ表情を変えないようにしていると、それに気がついたのか昴は優しく微笑んで聞こえるかどうかの声で
「あとで、屋上でね」
そう耳打ちして昴は自分の席に向かった。
ー☆ー
それから1年が過ぎ、18歳になった2人は再び将来について語らっていた。
「紗希さんの進路、蒼生大学の薬学部に決まったんだって?」
昴の問いに私は驚いた。
私は自分の進路について、誰にも、もちろん昴にも話していなかった。
「そうよ。でも、どうして知っているの?」
私の問いに昴は
「俺も蒼生大学に進学するんだ。蒼生大学の法学部にね。
進路相談室の合格実績の掲示板を見て驚いたよ」
まさか2人とも同じ大学を目指してて、推薦入学だったとはね。と昴は笑って言った。
「お互いに推薦枠を狙っていたことに、気付かなかったのね」
「無理もないよ。校内選考のときお互いに黙っていたし、理系と文系じゃ面接日も違うしさ」
それもそうね、と私は言った。
「俺は嬉しいよ?卒業しても紗希さんに会えるんだから」
昴の屈託のない笑みに私も笑みで返す。その様子に昴は少し驚いた様子だった。
「紗希さんが笑うところ、初めて見たかも」
昴は笑みを浮かべてそう言った。
私は昴のほうを向く。
「昴、ありがとう」
私はそう言って、頭を下げた。
「昴がいなかったら、私はもっと孤独だったわ。孤独から救ってくれてありがとう」
そう私が言うと
「お礼を言うのは俺の方だよ」
昴はどこか照れ臭そうにそう言った。
「俺も紗希さんと話すようになって、孤独から救われたんだ。だから、ありがとう」
私達はお互いに笑い合った。
「今度さ、放課後とか休みの日とか一緒に出掛けてみる?」
昴の提案に私は
「……考えとくわ」
と返した。私の言葉に昴はまた嬉しそうに笑った。
私は確かにまだ人間は嫌いだし、信じられない。でも、昴だけなら、信じられるような気がした。
17歳のあの日、屋上で話し始めた私達の「自分達だけの正解」。
恋人でもないけど、確かな信頼と絆で結ばれていると私は思いたい。この関係にはきっと盟友と言う言葉が相応しいと私は思う。
それは18歳になった今でも変わらない。
私達はそれぞれの未来に向かって確かに歩みだした。
そして、共に歩んでいく確信をもって、初めて話した日と同じ穏やかな屋上の空を見上げたのだった。
後日、昴は教室で私にそう声をかけた。
朝の些細な挨拶をしただけなのに、クラスメイトの視線が一気に集中した。
今まで私に話しかけた人は誰もいなかったし、お互いに下の名前で呼びあっているから余計だ。
「……おはよう、昴」
私も昴に挨拶を返した。
『あの2人っていつの間に付き合いだしたの?』
『秀才な陰キャ同士お似合いじゃない?』
そんな遠慮のない「心の声」が聞こえてくる。
できるだけ表情を変えないようにしていると、それに気がついたのか昴は優しく微笑んで聞こえるかどうかの声で
「あとで、屋上でね」
そう耳打ちして昴は自分の席に向かった。
ー☆ー
それから1年が過ぎ、18歳になった2人は再び将来について語らっていた。
「紗希さんの進路、蒼生大学の薬学部に決まったんだって?」
昴の問いに私は驚いた。
私は自分の進路について、誰にも、もちろん昴にも話していなかった。
「そうよ。でも、どうして知っているの?」
私の問いに昴は
「俺も蒼生大学に進学するんだ。蒼生大学の法学部にね。
進路相談室の合格実績の掲示板を見て驚いたよ」
まさか2人とも同じ大学を目指してて、推薦入学だったとはね。と昴は笑って言った。
「お互いに推薦枠を狙っていたことに、気付かなかったのね」
「無理もないよ。校内選考のときお互いに黙っていたし、理系と文系じゃ面接日も違うしさ」
それもそうね、と私は言った。
「俺は嬉しいよ?卒業しても紗希さんに会えるんだから」
昴の屈託のない笑みに私も笑みで返す。その様子に昴は少し驚いた様子だった。
「紗希さんが笑うところ、初めて見たかも」
昴は笑みを浮かべてそう言った。
私は昴のほうを向く。
「昴、ありがとう」
私はそう言って、頭を下げた。
「昴がいなかったら、私はもっと孤独だったわ。孤独から救ってくれてありがとう」
そう私が言うと
「お礼を言うのは俺の方だよ」
昴はどこか照れ臭そうにそう言った。
「俺も紗希さんと話すようになって、孤独から救われたんだ。だから、ありがとう」
私達はお互いに笑い合った。
「今度さ、放課後とか休みの日とか一緒に出掛けてみる?」
昴の提案に私は
「……考えとくわ」
と返した。私の言葉に昴はまた嬉しそうに笑った。
私は確かにまだ人間は嫌いだし、信じられない。でも、昴だけなら、信じられるような気がした。
17歳のあの日、屋上で話し始めた私達の「自分達だけの正解」。
恋人でもないけど、確かな信頼と絆で結ばれていると私は思いたい。この関係にはきっと盟友と言う言葉が相応しいと私は思う。
それは18歳になった今でも変わらない。
私達はそれぞれの未来に向かって確かに歩みだした。
そして、共に歩んでいく確信をもって、初めて話した日と同じ穏やかな屋上の空を見上げたのだった。

