怪異だって、現代社会では生きづらい。 ~元OL、怪異専門の相談所「KGB」を始めます~


カランカラン 「あのぉ〜すいません〜誰かいませんか?
下のコンビニのものなんですけど。」

「おはようございます いつもお世話になってます。
うちのおじさんがなんか迷惑かけましたか?」

「いえ、オタクのおじさんじゃないんですけど 別のおじさんが、、、」

「説明するのも何なんで、すぐ下ですし、ちょっと見てもらってもいいですか?
僕らじゃどうにもできなくて、、、」

そう言うとコンビニの店員さんは仕事に戻っていった。

エカテリーナはまた面倒事を抱え込むのかって頭を抱えているけど、
いつもお世話になっているコンビニだからと言って納得させた。

「なにこのおじさん、 汚いわね〜ちょっとイツキ
これただの酔っ払いじゃないの?」

エカテリーナが言うようにコンビニのイートインスペースでおじさんが寝ている。

手には発泡酒、足元にも空き缶が2、3本転がっている。

ジャージ姿で床にまで垂れている。
ドレッドヘアにサングラス、
ラスタカラーのニット帽をかぶっている。

店員さんが、接客の合間に駆けつけてくる。
「すいません。ただの酔っ払いじゃないんですよ。
ちょっと触ってみてくれませんか?」

「いやよ。なんでこんな汚いもん触らなきゃいけないの?
それに何かまがまがしい感じがするのよね。
こんなの気持ち悪くて触れないわ!! あんたが触りなさいよ!」

店員さんは、
しぶしぶ、
恐る恐る、
ドレッドのおじさんの肩を揺すろうとするが、

スカッ

「触れないの?」

「はい、、」

「動かそうにも動かせないし、こんな状態で警察も呼べないし
それでみんなと相談したら、上に怪しい相談所があるってことになって伺ったんですよ」

怪しいって何よ!

そりゃ怪しいけどね なんか面と向かって言われるとちょっと腹立つ。

死神ちゃんも、
昔からお世話になっているコンビニが困っていると聞いて、休憩室から降りてきた。

「これ多分貧乏神」

「ゲッ!!!!!」
「ウワッ!!!!」
「イヤァ〜!!!」

私もエカテリーナも店員さんも一緒に3メートル位は離れたと思う。

悩む 凄く悩む めちゃくちゃ悩む これが下のコンビニじゃなければ...
できれば関わり合いたくない、
というか、

今すぐ帰りたい

死神ちゃんが言うにはクシナダヒメの櫛を頭につければ触れるようになるらしい。

それを聞いたクシナダヒメは。

「イヤじゃ!イヤじゃ!そやつのおぐしは犬の毛布のような芳香を放っておるではないかっ!
ワラワをそのような、、」

「嗚呼あああああ〜おぼこよ!やめい!やめてくれ〜」

「大五郎さんちゃんと着替えて手洗ってね。これからお弁当作んなきゃいけないんだから。」

KGBのカウンターの前の床に貧乏神は大五郎さんによって転がされた。

私たちは相変わらず1メートル以上離れながら相談をした。

「おぼこよ、ワラワは生きた心地がせんかった
今すぐとっぷすのちよこれいとけいきを食さねば神通力が消えてしまいそうじゃ」

「すいませんすいませんすいませんすいませんチャラ男さん今すぐ買ってきて〜」

「主人のご命令なら」

「気取ってなくていいから早く!!!」

エカテリーナは車で行けば早いとか言ってチャラ男と買い出しに行った1

要は、逃げたのだあの悪魔は!!

「なんだ。そいつは、なんかアタイの妖力を吸われてる気がするぞ!早く追い出してくれ!」

わらしちゃんまでそんなことを言ってきた。

ちょっとかわいそうになってきた。

そりゃ貧乏神だから仕方がないって言えばそうなんだけど、
でもそんなんじゃないって 私の心の底から声がしてるような気がした。

わらしちゃんの妖気のおかげか、
クシナダヒメの神気のおかげか、
貧乏神は目を覚まして正座している。

「ご迷惑をおかけして本当にすいませんでした
私は最近行くところがなくて、この辺をウロウロしているんです
下のコンビニにもちょくちょく来ていたんですが
あまり落ち着くところがなくて
ちょっと前まで居心地の良いところがあったんですが、後継者がいないとかで店を閉めちゃったんですよ」

「皆さん優しいですね これ以上迷惑はかけられません、私はこれで失礼させていただきます」

いやそれは絶対お前のせいだ、
と、心の中でツッコミながら潰れてしまったお店を気の毒に思った。

私は見送りながら喉まで出かかっている言葉を必死に堪えるのが精一杯だった。

翌朝

いつものようにKGBドアを開ける。

カウンターに
わらしちゃんと、
大五郎さんと、
貧乏神とが並んで味噌汁を飲んでいた。

「おはようございます」

居るのかよ!!!