「唯花」
スマホに落としていた視線を弾かれるようにして上げると、いつの間にか玲也が目の前に立っていた。
「やっと気づいた。何回呼んでも気づかないんだもん。…あれ懐かしい写真だ」
玲也が私の手元を覗き込むと、優しく目を細めて呟いた。
「唯花が初めて俺の試合を見にきてくれた時。あ、でも一番最初は、出会ったあの日か。あの日も、唯花は練習見ててくれたもんな」
「…うん」
隣に腰掛けた玲也がふっと小さく笑った。
「俺が唯花と出会って、一目惚れした日」
「…え?」
え?と玲也もきょとんと私を見ていた。
一目惚れをしたのは、私の方だ。
あの日から、玲也の練習をしている姿をよく観に行くようになり、連絡先を交換して、話すようになった。
そして徐々に距離を縮めた私たちは、出会って二ヶ月後の十二月、玲也から告白をされて付き合い出したのだ。
てっきり玲也は、話しているうちに私のことを意識して好きになってくれたのだとばかり思っていた。
「一目惚れをしたのは、私だけだと思ってた」
「唯花が俺に一目惚れ?はは、そうだったんだ」
そういえば一目惚れの話は玲也にしていなかった。
もう一年近く付き合っているというのに、お互いが一目惚れをしていたなんて知らなかった。
「俺が唯花に飛んできたボールを庇えてよかったと心底思ってるよ。じゃないと出会えなかったし、唯花があの試合を見てどう思ったのか聞くことができなかった。自慢するつもりじゃないけど、スポーツやってて昔から女子から騒がれることが多くて、でも、みんな俺の顔だけしか見ていないことにも気づいてた。俺のサッカーをする姿だけを見て、ちやほやされても何も嬉しくなんてなかった」
玲也は誰がどう見ても整った顔立ちをしている。
一時期は何の取り柄もなく可愛いとも美人ともいえない私が、玲也の隣にいていいのかと悩んだこともあったくらい。
「だけど唯花だけは、俺自身じゃなくて俺のサッカーを見てくれた。努力して続けてきたサッカーを褒めてくれたんだ。どんな言葉よりも嬉しかった。真っ直ぐに伝えてくれる唯花に一目惚れしたんだよ」
「そう、だったんだ…」
「俺の唯一の花だ、ってそう思った」
「ふふ、何それ。大袈裟だよ」
玲也は恥ずかしがることもなくそういう言葉を伝えてくれる。
好きとか可愛いとか、最初は恥ずかしかったけど素直に気持ちを伝えてくれる玲也に、嬉しく思ったし私もだんだんと気持ちを言葉で返せるようになってきた。
「…久しぶりに唯花が笑ってるところ見た」
「…え?」
玲也が眉を下げて困ったように笑った。
「最近、会うたびに眉間に皺が寄ってて、いつも不満そうな顔してたから。今日の唯花はすごく穏やか。でも、そんな顔させてたのは俺が原因だよね」
「…ごめん、気づかなかった」
「いやいいんだ。唯花を不安にさせて不満にさせてたのは俺だよね?
スマホに落としていた視線を弾かれるようにして上げると、いつの間にか玲也が目の前に立っていた。
「やっと気づいた。何回呼んでも気づかないんだもん。…あれ懐かしい写真だ」
玲也が私の手元を覗き込むと、優しく目を細めて呟いた。
「唯花が初めて俺の試合を見にきてくれた時。あ、でも一番最初は、出会ったあの日か。あの日も、唯花は練習見ててくれたもんな」
「…うん」
隣に腰掛けた玲也がふっと小さく笑った。
「俺が唯花と出会って、一目惚れした日」
「…え?」
え?と玲也もきょとんと私を見ていた。
一目惚れをしたのは、私の方だ。
あの日から、玲也の練習をしている姿をよく観に行くようになり、連絡先を交換して、話すようになった。
そして徐々に距離を縮めた私たちは、出会って二ヶ月後の十二月、玲也から告白をされて付き合い出したのだ。
てっきり玲也は、話しているうちに私のことを意識して好きになってくれたのだとばかり思っていた。
「一目惚れをしたのは、私だけだと思ってた」
「唯花が俺に一目惚れ?はは、そうだったんだ」
そういえば一目惚れの話は玲也にしていなかった。
もう一年近く付き合っているというのに、お互いが一目惚れをしていたなんて知らなかった。
「俺が唯花に飛んできたボールを庇えてよかったと心底思ってるよ。じゃないと出会えなかったし、唯花があの試合を見てどう思ったのか聞くことができなかった。自慢するつもりじゃないけど、スポーツやってて昔から女子から騒がれることが多くて、でも、みんな俺の顔だけしか見ていないことにも気づいてた。俺のサッカーをする姿だけを見て、ちやほやされても何も嬉しくなんてなかった」
玲也は誰がどう見ても整った顔立ちをしている。
一時期は何の取り柄もなく可愛いとも美人ともいえない私が、玲也の隣にいていいのかと悩んだこともあったくらい。
「だけど唯花だけは、俺自身じゃなくて俺のサッカーを見てくれた。努力して続けてきたサッカーを褒めてくれたんだ。どんな言葉よりも嬉しかった。真っ直ぐに伝えてくれる唯花に一目惚れしたんだよ」
「そう、だったんだ…」
「俺の唯一の花だ、ってそう思った」
「ふふ、何それ。大袈裟だよ」
玲也は恥ずかしがることもなくそういう言葉を伝えてくれる。
好きとか可愛いとか、最初は恥ずかしかったけど素直に気持ちを伝えてくれる玲也に、嬉しく思ったし私もだんだんと気持ちを言葉で返せるようになってきた。
「…久しぶりに唯花が笑ってるところ見た」
「…え?」
玲也が眉を下げて困ったように笑った。
「最近、会うたびに眉間に皺が寄ってて、いつも不満そうな顔してたから。今日の唯花はすごく穏やか。でも、そんな顔させてたのは俺が原因だよね」
「…ごめん、気づかなかった」
「いやいいんだ。唯花を不安にさせて不満にさせてたのは俺だよね?



