腐男子な僕はBL展開に胸きゅんが止まらない!

「本当に無いから!!」
そう答え、僕は夏帆の手を払った。
夏帆は女子バレー部の星だ。
うちの高校を弱小から県大会TOP5の常連校に育て上げた中林先輩に憧れて、この高校を受験したらしい。
ちなみに、僕は身長156cmで、夏帆は170cm。
14cm差の凸凹幼馴染みコンビだ。
……そして、夏帆あるところに航大あり。
「夏帆、あまりしつこいと、瑞稀に嫌われるぞ」
夏帆の双子の兄である航大が、夏帆の首根っこを掴んで僕から引き剥がした。
「悪いな、瑞稀」
「大丈夫だよ」
苦笑いで答える僕に
「ほら、夏帆はA組だろう? もうすぐ予鈴が鳴るぞ」
と言って夏帆を廊下へと引きずって行く。
「航大と瑞稀が同じクラスで、私だけ違うなんてズルい~!」
「はいはい。クレームは先生たちに言え」
そう言って、夏帆をポイっと廊下に投げ捨ててドアを閉めた。
「瑞稀……夏帆がごめんな」
航大に両手を合わせて謝罪されて、僕は首を横に振る。
「ううん。僕こそ、いつもごめんね」
「いや、夏帆(あいつ)の強引な性格に勝てる奴なんて、そうそういないから」
切れ長の目の、爽やかスポーツマンタイプのイケメン航大。
サッカー部に入っていて、うちの学年で女子人気ナンバーワン。
……そんな航大でさえ、のじちゃんからしたら
「はぁ? 無理! 汗臭い」
の一言。

いや、航大は汗臭くないよ?
いつもミント系のスポーツ制汗剤の匂いだよ?

そんな僕に、のじちゃんは
「私の人生は、シーグ様に捧げているの!」
そう言って、スマホのロック画面を見せた。
緑の髪の毛で肩までのロン毛。
僕が子供の頃にやっていたアニメのキャラクターだ。

のじちゃんは六神合体ゴッドマージの大ファンで、部屋にはポスター。
イベントに行くために、バイトをしているくらいだ。
なんでも……シーグは、主役の後堂武尊より人気があるらしく、敵役でもあり、実は後堂武尊の双子の兄だったという設定らしい。(のじちゃん談)
最終的に、弟を守るために死んでしまうらしく……。
「私、葬儀に行ったわよ……」
と、涙ながらに語っていた。
そんなのじちゃんが好きなシーグの年齢は17歳だけど……年上だから良しとしよう。

なんて、のじちゃんの推し語りを思い出していると、
「ほら~お前ら、席に着け~」
と言いながら、数学の峰ぢが入って来た。
みんながバラバラと席に戻る中、僕は校庭で体育の授業を受けている支倉先輩の姿を眺めていた。