「あれ? お前らまだ居たの?」
教室のドアを開けて入って来たのは、噂の小泉先輩だった。
(噂をすれば影って、本当にあるよね)
内心ドギマギしているのを隠し、
「今日の議案に出ていた、髪を結ぶゴムの色を増やすか、リボンを許可してほしいという意見について、明日のHRでどう話し合うか相談していました」
そう答えた。
これは、先生とかに「何やってるんだ!」と怒られた時用に、いつも議案が配られたら予め僕とのじちゃんで話し合って決めているのだ。
思わずキリッとした顔をして答えた僕に、小泉先輩は訝しそうな顔をしながら
「ふ~ん」
と呟いた。
(明らかに、怪しまれてる……)
僕が苦笑いしていると、視界の端で、のじちゃんがスススーッと離れて行くのが見えた。
しかも、ニヤニヤしながら僕と小泉先輩が話している姿を見ている。
……そう。
のじちゃんの中では、僕を巡って小泉先輩と支倉先輩が攻防する様が楽しいのだと、その顔が物語っていた。
その時だった。
「あれ? 小泉が消えたと思ったら、1-Bの学級委員二人はまだ残ってたの?」
後ろのドアから、支倉先輩が現れたのだ。
「なんか、今日の議題を明日のHRで話し合いするから、打ち合わせだって」
「えぇっ! みんな終わったら真っ先に帰るのに、二人は真面目だね」
フワリと微笑まれて、なんだか悪いことをしているみたいな気分になってしまう。
そんな事を考えていると、
「でも、二人は仲が良いよね。付き合ってるの?」
支倉先輩の悪気のない問いに、胸が鈍く痛んだ。
「?」
痛む胸に首を傾げながら、
「僕とのじちゃんは、ただの友達なので!」
そう答えると、
「え? 本当に友達なの?」
と、支倉先輩が目を丸くした。
「森川君と私は、友情以外の何もありませんよ。第一、こんなに可愛い森川君に、私なんかつり合わないですよ」
のじちゃんは『この人、何言っちゃってんの?』と言わんばかりの顔をしていた。
……そう。普段ののじちゃんはクールなんだよね。
腐った話なら、あんなに面白くて饒舌なのに……。
なんて考えていると、
「まだ入学して一ヶ月と少しだぞ。付き合うとか、ありえないだろうが……」
呆れる小泉先輩に、支倉先輩が苦笑いを返していた。
「ったく、なんでも自分と一緒に考えるなよな……」
うんざりした口調の小泉先輩の言葉に、僕は胸騒ぎがした。
なんで支倉先輩に彼女がいるって思っただけで、こんなに胸が苦しくなるんだろう。
……そんな思いを振り切るように、意を決して僕は支倉先輩に、
「え? 支倉先輩に彼女……」
そう言いかけた時だった。
「小泉! 支倉! まだ、生徒会の仕事が終わってないのよ! 何処に行った!!」
普段はお淑やかな都築先輩の声が廊下に響いた。
「え? 今の声って……」
僕とのじちゃんが顔を見合わせると、
「おい、返事くらいしろよ!」
荒々しく開いたドアには、仁王立ちした都築先輩の姿が……。
僕とのじちゃんは、思わず教室の隅で固まり、うさぎのようにプルプル震えながら互いの手を無意識に握りしめていた。
そんな僕たちに気付いた都築先輩は、「あっ!」という顔をした後、僕たちに近付いて来た。
僕とのじちゃんは、もう、追い詰められたうさぎの気分だった。
教室のドアを開けて入って来たのは、噂の小泉先輩だった。
(噂をすれば影って、本当にあるよね)
内心ドギマギしているのを隠し、
「今日の議案に出ていた、髪を結ぶゴムの色を増やすか、リボンを許可してほしいという意見について、明日のHRでどう話し合うか相談していました」
そう答えた。
これは、先生とかに「何やってるんだ!」と怒られた時用に、いつも議案が配られたら予め僕とのじちゃんで話し合って決めているのだ。
思わずキリッとした顔をして答えた僕に、小泉先輩は訝しそうな顔をしながら
「ふ~ん」
と呟いた。
(明らかに、怪しまれてる……)
僕が苦笑いしていると、視界の端で、のじちゃんがスススーッと離れて行くのが見えた。
しかも、ニヤニヤしながら僕と小泉先輩が話している姿を見ている。
……そう。
のじちゃんの中では、僕を巡って小泉先輩と支倉先輩が攻防する様が楽しいのだと、その顔が物語っていた。
その時だった。
「あれ? 小泉が消えたと思ったら、1-Bの学級委員二人はまだ残ってたの?」
後ろのドアから、支倉先輩が現れたのだ。
「なんか、今日の議題を明日のHRで話し合いするから、打ち合わせだって」
「えぇっ! みんな終わったら真っ先に帰るのに、二人は真面目だね」
フワリと微笑まれて、なんだか悪いことをしているみたいな気分になってしまう。
そんな事を考えていると、
「でも、二人は仲が良いよね。付き合ってるの?」
支倉先輩の悪気のない問いに、胸が鈍く痛んだ。
「?」
痛む胸に首を傾げながら、
「僕とのじちゃんは、ただの友達なので!」
そう答えると、
「え? 本当に友達なの?」
と、支倉先輩が目を丸くした。
「森川君と私は、友情以外の何もありませんよ。第一、こんなに可愛い森川君に、私なんかつり合わないですよ」
のじちゃんは『この人、何言っちゃってんの?』と言わんばかりの顔をしていた。
……そう。普段ののじちゃんはクールなんだよね。
腐った話なら、あんなに面白くて饒舌なのに……。
なんて考えていると、
「まだ入学して一ヶ月と少しだぞ。付き合うとか、ありえないだろうが……」
呆れる小泉先輩に、支倉先輩が苦笑いを返していた。
「ったく、なんでも自分と一緒に考えるなよな……」
うんざりした口調の小泉先輩の言葉に、僕は胸騒ぎがした。
なんで支倉先輩に彼女がいるって思っただけで、こんなに胸が苦しくなるんだろう。
……そんな思いを振り切るように、意を決して僕は支倉先輩に、
「え? 支倉先輩に彼女……」
そう言いかけた時だった。
「小泉! 支倉! まだ、生徒会の仕事が終わってないのよ! 何処に行った!!」
普段はお淑やかな都築先輩の声が廊下に響いた。
「え? 今の声って……」
僕とのじちゃんが顔を見合わせると、
「おい、返事くらいしろよ!」
荒々しく開いたドアには、仁王立ちした都築先輩の姿が……。
僕とのじちゃんは、思わず教室の隅で固まり、うさぎのようにプルプル震えながら互いの手を無意識に握りしめていた。
そんな僕たちに気付いた都築先輩は、「あっ!」という顔をした後、僕たちに近付いて来た。
僕とのじちゃんは、もう、追い詰められたうさぎの気分だった。

