腐男子な僕はBL展開に胸きゅんが止まらない!

「え? 勉強を教えて欲しい?」

 それは、中間テストが終わったばかりのある日の事だった。
航大が部活に明け暮れているのに、テストで赤点じゃないのは何故だ? と、同じ部活の人たちに詰め寄られたらしい。
僕と航大と夏帆は、家が隣同士だ。
だから、試験シーズンになると、僕が二人に勉強を教えていたんだ。

「……それは構わないけど、それにはもう一人、強力な助っ人が必要かな?」

と答えた。

「強力な助っ人?」

彼らが首を傾げる。
僕は足早にのじちゃんの席に移動すると、
「僕、理数系は得意だけど、文系苦手だからさ。のじ先生、お願い出来ない?」
と、両手を合わせてお願いしてみた。
のじちゃんは自分に白羽の矢が立った事にびっくりしたみたいで、目を丸くしている。

「はぁ? 私?」
「そうだよ! 僕、漢文とか古文苦手だもん」

そう言うと、サッカー部の厳つい奴等も僕の真似をしてお願いポーズをしている。
そんな彼らに押される感じで、のじちゃんが、

「わ……分かったわよ」

と答えた。
すると、

「やったーッ!」

と、野太い野郎声が教室に響き渡った。
航大がのじちゃんに片手を上げて、

「巻き込んでごめんな」

そう言っているのに気付いた。
僕は良くて、のじちゃんには謝るなんて、失礼な奴だな!
僕が航大の態度に納得いかなくて、頬をふくらませて唇をとがらせると、

「なに、ふくれっ面してるんだよ!」

と、航大が僕の両頬を親指と人差し指で挟んでつぶした。

「航大、あんまり僕を邪険にすると、お前の黒歴史を漫研部でバラすぞ!」

そう言って航大を脅した時、のじちゃんの眼鏡が光った。

『なに? 爽やかイケメンの鈴木航大に黒歴史だと? 森っち、後で詳しく』

とでも思っているんだろう。
のじちゃんが僕の顔をジッと見ていた。
僕がそんなのじちゃんにコクリと頷くと、のじちゃんも小さく親指を立てて頷いた。
すると、そんな僕たちのアイコンタクトに気付いた航大が、

「お前ら、本当に仲良いよな」

と言いながら、僕の視線の高さまで屈んで顔を並べ、のじちゃんに笑顔で手を振った。
しかも、さすがのじちゃん。
普通の女子なら航大に手を振られたら、『きゃ~』と喜ぶところなのに、のじちゃんはズルッとコケた。
そして辺りを見回し、眼鏡を直すと、何事もなかったような顔でブックカバーをかけたBL本を読み始めた。
航大はクスクス笑い出し、

「野尻さんって、面白いよな」

と呟いた。

「のじちゃん?」
「うん。普通の女子って、ああいう反応しないよ」

そう言って笑っている。
その時、僕は思ったんだ。
のじちゃんと航大が付き合ったら、大好きな二人とずっと一緒にいられるなぁ~って。