そんなこんながあり、私と森川君は、
「のじちゃん」「森っち」と呼び合う仲となった。
そんなある日、偶然、鈴木航大と廊下の曲がり角で激突した。
向こうは運動部、こっちは文化部。
吹っ飛んだのは、私の方だった。
「大丈夫?」
こんな私にも、鈴木航大は手を差し伸べた。
普通の女子なら、大喜びする案件だろう。
だが、相手は私だ。
差し伸べられた手を丁重にお断りして、自分で立ち上がった。
吹っ飛んだ拍子に、眼鏡まで飛んでしまったらしい。
鈴木航大は少し離れた場所に落ちた眼鏡を拾い、
「へぇ……野尻さんって、眼鏡しなくても野尻さんだね」
と、私の顔をまじまじと眺めて来た。
「……それは、地味顔ってことですか?」
スカートをはたきながら聞くと、
「え? そんな悪口に聞こえた?」
そう言って、頭をかいていた。
「いやさ、野尻さんって美人系じゃん?」
「はぁ?」
「瑞稀は、眼鏡外したら美人だとか言ってたけど、眼鏡してても普通に美人だよね?」
鈴木航大はそう言うと、私の顔に眼鏡をかけ直した。
(こういう無自覚さは、お前もか!)
と、心の中で叫んでいると、
「だから、夏帆が心配するんだろうな……」
そう言葉が続き、私は目が点になった。
「はぁ?」
「いやさ、夏帆が野尻さんと瑞稀が怪しいってさ」
「……一番、なくないですか?」
「なんで?」
「なんで……って。相手、私ですよ?」
「うん」
「いや、『うん』じゃなくて!」
「え? なんか問題?」
「いやいや、鈴木夏帆さんって、スタイル良くて美人じゃないですか!」
「野尻さんも美人系だよ」
「だから! 私は陰キャなオタク女なんですよ。森川君みたいな美少年と、釣り合わないです!」
そう叫ぶと、
「それ、誰かに言われたの?」
急に真顔になり、鈴木航大が呟いた。
「え? ……いや、中学時代に」
「そうなんだ……」
鈴木航大はそう言うと、深いため息をついた。
「それを言うなら、瑞稀だって明るいオタクじゃん」
「陰キャと陽キャは、天と地ほど違います」
そう答えた私に、
「なんで? オタクはオタクじゃん?」
と、首を傾げた。
「野尻はさ、なんで自分まで自分のこと下げんの?」
いきなりそう言われて、思わず鈴木航大を見上げた。
「え?」
「俺さ、女の子ってみんな可愛いと思うんだよ」
「はぁ……」
「野尻だって、そんな猫背にしてないで胸を張れば美人だよ」
爽やかな笑顔で言われ、私は悟った。
森川瑞稀、鈴木航大。
二人とも無自覚人たらしで、鈴木航大はそこに女ったらしが追加されるのだと……。
「のじちゃん」「森っち」と呼び合う仲となった。
そんなある日、偶然、鈴木航大と廊下の曲がり角で激突した。
向こうは運動部、こっちは文化部。
吹っ飛んだのは、私の方だった。
「大丈夫?」
こんな私にも、鈴木航大は手を差し伸べた。
普通の女子なら、大喜びする案件だろう。
だが、相手は私だ。
差し伸べられた手を丁重にお断りして、自分で立ち上がった。
吹っ飛んだ拍子に、眼鏡まで飛んでしまったらしい。
鈴木航大は少し離れた場所に落ちた眼鏡を拾い、
「へぇ……野尻さんって、眼鏡しなくても野尻さんだね」
と、私の顔をまじまじと眺めて来た。
「……それは、地味顔ってことですか?」
スカートをはたきながら聞くと、
「え? そんな悪口に聞こえた?」
そう言って、頭をかいていた。
「いやさ、野尻さんって美人系じゃん?」
「はぁ?」
「瑞稀は、眼鏡外したら美人だとか言ってたけど、眼鏡してても普通に美人だよね?」
鈴木航大はそう言うと、私の顔に眼鏡をかけ直した。
(こういう無自覚さは、お前もか!)
と、心の中で叫んでいると、
「だから、夏帆が心配するんだろうな……」
そう言葉が続き、私は目が点になった。
「はぁ?」
「いやさ、夏帆が野尻さんと瑞稀が怪しいってさ」
「……一番、なくないですか?」
「なんで?」
「なんで……って。相手、私ですよ?」
「うん」
「いや、『うん』じゃなくて!」
「え? なんか問題?」
「いやいや、鈴木夏帆さんって、スタイル良くて美人じゃないですか!」
「野尻さんも美人系だよ」
「だから! 私は陰キャなオタク女なんですよ。森川君みたいな美少年と、釣り合わないです!」
そう叫ぶと、
「それ、誰かに言われたの?」
急に真顔になり、鈴木航大が呟いた。
「え? ……いや、中学時代に」
「そうなんだ……」
鈴木航大はそう言うと、深いため息をついた。
「それを言うなら、瑞稀だって明るいオタクじゃん」
「陰キャと陽キャは、天と地ほど違います」
そう答えた私に、
「なんで? オタクはオタクじゃん?」
と、首を傾げた。
「野尻はさ、なんで自分まで自分のこと下げんの?」
いきなりそう言われて、思わず鈴木航大を見上げた。
「え?」
「俺さ、女の子ってみんな可愛いと思うんだよ」
「はぁ……」
「野尻だって、そんな猫背にしてないで胸を張れば美人だよ」
爽やかな笑顔で言われ、私は悟った。
森川瑞稀、鈴木航大。
二人とも無自覚人たらしで、鈴木航大はそこに女ったらしが追加されるのだと……。

