それから森川君とは、学級委員として、当たり障りのない会話をする関係だった。
やたら生徒会の人たちに可愛がられている森川君を見るのを楽しみ……ゴホゴホっ。
微笑ましく思っていた。
森川君は優しくて、学級委員会で人数分のプリントを配られると、
「野尻さんはいつも議事録を書いてくれているから、力仕事は僕に任せて!」
と、私より明らかに細い腕で力こぶを作るポーズをした。
(ぐはっ! 可愛い……可愛いが過ぎるぞ、森川瑞稀!)
私は何度となく、森川君の無自覚な人たらしぶりに吐血した。
これまで、男の子たちは漫画を描いているだけで『オタク』だと馬鹿にして、意地悪をして来た。
そんな中で、森川君は、
「へぇ……野尻さんって絵が上手なんだね」
と、委員会の最中、議事録ノートに描いた小泉先輩の似顔絵を見て、目を丸くして声をかけてくれた。
そんな私が、森川君こと森っちと仲良くなったのは、漫研部の部長である及川先輩の漫画を買いに行った日の事だった。
漫研部の部長である及川先輩は、『もっちり食パン』というペンネームで、胸きゅんBLを描いている。
代表作は『きみは太陽』や『星屑の涙』だ。
だがしかし! もっちり食パン先生の真骨頂は爽やか青春胸きゅんBLなんかではない!
『秘密の関係』や『拾ったのは愛だった』等の、R18ものなのだ。
王道の少女漫画に出て来るようなイケメンを描いておきながら、中身はBLという人気作家だ。
しかも絵柄だけじゃなく、ストーリーも泣かせて来る。
そんな人が我が校の漫研部の部長だと知った時、なんてラッキーだったのだと……咽び泣いた程だ。
そんな及川先輩こと、もっちり食パン先生の新刊に手を伸ばした時、同じ本へ伸びて来た手が視界に入った。
手の感じだと、男子だろう。
(今、流行りの腐男子ですな? 顔を見て、イケメンだったら今後の漫画のモデルにしたい所だ……)
と、心の中で呟いたその時だった。
「あれ? 野尻さん?」
そう声をかけて来たのは、森川瑞稀様ではないか!!
……普通の本だったら、ここで恋が芽生えるのかもしれない。
否! 我々は今、BL漫画の前で出会ってしまったのだ。
「もももも森川君?」
慌てる私に、森川君は「あははは」って笑いながら、
「もがいっぱい」
とか言っている。
そして何事もなかったかのように、目の前のもっちり食パン先生のBL漫画を手にした。
「野尻さんも好きなの? もっちり食パン先生」
小首を傾げ、微笑んだ顔は天使だった。
(しかし、手にしているのはBL!)
こうして、私と森川君こと森っちの、腐仲間としての友情が始まったのだ。
やたら生徒会の人たちに可愛がられている森川君を見るのを楽しみ……ゴホゴホっ。
微笑ましく思っていた。
森川君は優しくて、学級委員会で人数分のプリントを配られると、
「野尻さんはいつも議事録を書いてくれているから、力仕事は僕に任せて!」
と、私より明らかに細い腕で力こぶを作るポーズをした。
(ぐはっ! 可愛い……可愛いが過ぎるぞ、森川瑞稀!)
私は何度となく、森川君の無自覚な人たらしぶりに吐血した。
これまで、男の子たちは漫画を描いているだけで『オタク』だと馬鹿にして、意地悪をして来た。
そんな中で、森川君は、
「へぇ……野尻さんって絵が上手なんだね」
と、委員会の最中、議事録ノートに描いた小泉先輩の似顔絵を見て、目を丸くして声をかけてくれた。
そんな私が、森川君こと森っちと仲良くなったのは、漫研部の部長である及川先輩の漫画を買いに行った日の事だった。
漫研部の部長である及川先輩は、『もっちり食パン』というペンネームで、胸きゅんBLを描いている。
代表作は『きみは太陽』や『星屑の涙』だ。
だがしかし! もっちり食パン先生の真骨頂は爽やか青春胸きゅんBLなんかではない!
『秘密の関係』や『拾ったのは愛だった』等の、R18ものなのだ。
王道の少女漫画に出て来るようなイケメンを描いておきながら、中身はBLという人気作家だ。
しかも絵柄だけじゃなく、ストーリーも泣かせて来る。
そんな人が我が校の漫研部の部長だと知った時、なんてラッキーだったのだと……咽び泣いた程だ。
そんな及川先輩こと、もっちり食パン先生の新刊に手を伸ばした時、同じ本へ伸びて来た手が視界に入った。
手の感じだと、男子だろう。
(今、流行りの腐男子ですな? 顔を見て、イケメンだったら今後の漫画のモデルにしたい所だ……)
と、心の中で呟いたその時だった。
「あれ? 野尻さん?」
そう声をかけて来たのは、森川瑞稀様ではないか!!
……普通の本だったら、ここで恋が芽生えるのかもしれない。
否! 我々は今、BL漫画の前で出会ってしまったのだ。
「もももも森川君?」
慌てる私に、森川君は「あははは」って笑いながら、
「もがいっぱい」
とか言っている。
そして何事もなかったかのように、目の前のもっちり食パン先生のBL漫画を手にした。
「野尻さんも好きなの? もっちり食パン先生」
小首を傾げ、微笑んだ顔は天使だった。
(しかし、手にしているのはBL!)
こうして、私と森川君こと森っちの、腐仲間としての友情が始まったのだ。

