腐男子な僕はBL展開に胸きゅんが止まらない!

あの日から、僕は漫研部に入部した。
「なんで?」
夏帆の第一声だ。
そりゃ~そうだろうよ。
「瑞稀、漫画描けないじゃん!」
と言われたが、
「馬鹿だな! 漫研部の正式名称は、漫画研究部だぞ! 僕のように、漫画をこよなく愛している人間が入らなくて、誰が入るんだ!」
「漫画は漫画でも、BLな」
「航大、うるさい!」
熱弁する僕に、夏帆が呆れた顔をする。
「そんな僕が嫌なら、無理に仲良くしなくていいよ」
そう続けた僕に、
「そんな言い方しなくても、いいじゃない!」
夏帆が目に涙を浮かべて反論した。
「……だからさ、のじちゃんや漫研部を悪く言うのをやめてよ」
真っ直ぐに夏帆を見て言うと、夏帆はグッと息を飲み、
「何よ! 『のじちゃん、のじちゃん』って! 瑞稀の馬鹿!」
そう叫ぶと、鞄で思いきり僕の右腕を叩いた。
「いってぇ!」
「私の胸の方が痛いわよ! バカ瑞稀!」
あかんべーをして、夏帆が走り去った。
残された僕と航大は、顔を見合わせた後、無言で歩き出す。
「なぁ」
「ん?」
「なんで僕が漫研に入ると、夏帆の胸が痛むんだ?」
隣の航大に聞くと、
「自分で考えれば? 俺からは言えないな」
そう言われてしまう。
「教えてよ、双子でしょう?」
「意味わかんねぇ」
「双子って、以心伝心とかあるんじゃないの?」
「それ、一卵性双生児な。俺ら、二卵性双生児だから」
「それって、なんか違うの?」
「違うなぁ~。性別だって違うんだから、全然違うぞ」
「ふぅ~ん」
と納得しかけて、
「いや、だから! そうじゃなくて!」
そう言って航大を見上げた瞬間、
「も~りかわ!」
聞き覚えのある、高校生男子にあるまじき甲高い声が聞こえた。
サッと身体を避けると、背後から飛び乗ろうとしていた小泉先輩が肩透かしをくらって悔しそうだ。
「小泉先輩、おはようございます」
冷静に挨拶すると、
「俺を避けるなんて、生意気だぞ! 森川!」
と、ご立腹の様子。
「小泉先輩、僕に飛び乗るより、こちらの方が飛び乗りがいがあると思います」
僕は両手で航大を示した。
「はぁ?」
「お!」
驚く航大に、嬉しそうな小泉先輩。
素早い動きで航大の背中に飛び乗った。
「おぉ! さすがサッカー部。鍛えてるねぇ~。ビクともしない」
と言っている。
すると、
「小泉!」
大好きだけど、今はちょっと胸が痛む支倉先輩の声が聞こえた。
「見ろ、支倉! さすがサッカー部。ビクともしない!」
航大の背中で嬉々として語る小泉先輩に、支倉先輩が額に手を当てて深いため息をついた。
「ごめんね、鈴木」
「あ、いえ。大丈夫っす」
僕が(おぉ! 運動部の会話だ!)と思っていると、
「航大×小泉……ありよりのありね」
眼鏡を光らせたのじちゃんが、僕の背後に現れた。
「の……のじちゃん!」
「森っち、おはよう。さすが歩くBL製造機ね」
「なにそれ?」
「ふふふふ、今日も楽しくなりそうだわ」
そう言いながら、すすす~っとのじちゃんが去って行く。
なんで去るんだ? と思っていると、
「森川?」
支倉先輩、小泉先輩、航大がこちらを見ていた。