腐男子な僕はBL展開に胸きゅんが止まらない!

「のじちゃん!!」

 その日の放課後、僕は漫研部に突撃した。

「もももも……森っち!!」

 液タブで漫画を描いていたのじちゃんが、目を見開いて呟いた。

 その瞬間、

「ややや! 野尻氏、野尻氏。森川瑞稀氏と、やはり知り合いでしたな」

「やはり! 私らに隠していたのは、なにゆえでござるか?」

 漫研部のメンバーが、のじちゃんの周りを囲った。

「そ……それは」

「私が言おうか?」

 戸惑うのじちゃんをよそに、部室の奥でパソコンを使って漫画を描いていた人が顔を上げた。

「?」

 誰だろう? と首を傾げると、

「きみは、森川瑞稀君だよね」

 ニッコリ微笑むその人は、上履きが青色だった。

 ……3年生か。

 そう思っていると、ズンズンと僕の前までやって来て、顔を覗き込んだ。

「えっぐ! なに? 間近で見たら、肌スベスベ。クリクリで黒目がちな瞳は潤んでるし、可愛い!!」

 そう呟いた瞬間、後ろの部員に手を出した。

 すると、のじちゃんを囲っていた漫研部の一人が、奥の席からスケッチブックと鉛筆を持って来て手渡した。

「ありがとう」

 そう言うと、シュバババ! と目の前でイラストを描き出した。

 その絵を見た瞬間、

「このタッチ……このイラスト……」

 僕は息を飲んだ。

「もっちり食パン先生!!」

「私を……知ってるの?」

 驚いた顔をするもっちり食パン先生の手を掴み、

「ファンです!!」

 そう叫んでいた。

「あの……処女作の『きみは太陽』とか、『星屑の涙』とか……全部、全部読んでます!」

「え? 全部……BLだけど?」

(しまった! 感動のあまり、自分から腐男子だってバラしてる!)

 のじちゃんの顔を見ると、頭を抱えているじゃないか。

(やっぱり、バレたらまずいよね?)

 なんて考えていると、

「え? もしかして……森川君って、腐男子?」

 と、ズバリ聞かれてしまった。

「あは……あはは……」

 笑って誤魔化す僕に、

「なるほど。で、野尻は森川君と仲良くなったわけか……ふふふふ……」

 漫研部の部長が、突然笑いだした。

「ぶ……部長?」

 他の部員たちが戸惑う中、部長は、

「ようこそ、我が漫画研究部へ。森川君!」

 と言い出した。

「はぁ?」

「えぇっ!」

 部長の言葉に、のじちゃんと僕が同時に声を上げた。

 そして部長は僕の肩を掴むと、

「実は新作を描いていてね」

 そう呟いた。

「新作!!」

「そうなんだよ。それには、森川君。きみの協力が必要なんだよ!」

「僕が……もっちり食パン先生の役に立つんですか?」

「立つ立つ、大いに役に立つよ!」

 その言葉に、僕は後先考えず、

「分かりましたー! 僕、漫研部に入ります!」

 と叫んでいた。

 そんな僕の視界の端に、のじちゃんが再び頭を抱えている姿が見えた。