腐男子な僕はBL展開に胸きゅんが止まらない!

「なぁ、瑞稀」

「ん?」

「今朝、小泉先輩と何があった?」

 お昼ご飯を食べていると、突然聞かれて、ご飯を喉につまらせた。

「ゴホッゴホッ」

「何してんの? はい、お茶」

 一緒に食べていた夏帆にペットボトルのお茶を差し出され、慌てて流し込む。

「……何って?」

「漫研の女子が非常口のドアを占拠してたから、何があったのか見えなかったんだよ」

「え? のじちゃん以外にもいたの?」

「いたねぇ……」

「もう! 何なの! だから腐女子って嫌い!」

 頬を膨らませる夏帆に、

「夏帆! そういう差別は、僕、嫌いだよ!」

 そう言った瞬間、

「そうだよな。瑞稀、腐男子だもんな」

 と言われ、思わず航大を見た。

「お前……」

「もう、隠さなくてよくない? 隠すから、野尻と変に勘繰られるんだからさ」

 そう言われて、一瞬「なるほど……」と納得しかけ、

「いや、だからってさ!」

 と反論していると、夏帆がプルプル震えながら、

「夏帆は知らないのに、なんで航ちゃんは知ってるの?」

 と言い出した。

「え? こいつの部屋、行ってみろよ。BL漫画がいっぱいだぜ」

「航大、ナイショだって言ったよね?」

「えー、今更よくないか? 夏帆相手に隠す必要ある?」

「乙女心は複雑なんだよ!」

 航大と言い争っていると、

「え? じゃあ、なに? 野尻さんとは、本当に腐った友達なだけなの?」

 そう聞いて来た。

「そうだよ。大体、のじちゃんが僕を恋愛対象として見るわけないだろう?」

「なんで言い切れるのよ!」

「夏帆……お前、好きな相手を総受けにするか?」

 思わず真剣に語ってしまう。

「前に、僕はのじちゃんから『絵に描いたような受け様がいると思ってた』と言われたんだよ。わかる? のじちゃんは、僕が航大や小泉先輩にピー(自主規制)やピー(自主規制)をされそうで最高だとか言ってたんだよ!」

 箸を握り締めて語る僕に、夏帆と航大があんぐりと口を開けているのが見えた。

「瑞稀、お前……そんなことを言われても、仲良しとか意味が分からないぞ」

 航大から真剣に言われ、

「ストーリーが最高なら、許してる! リアルじゃないしね!」

 そう呟くと、夏帆は真っ赤になって、

「バカじゃないの!」

 と叫んで立ち上がった。

「とにかく、瑞稀はもっと現実を見なさいよ!」

 そう言い残し、

「部活あるから」

 と行ってしまった。

 残された僕と航大。

「ほら見ろ。夏帆、怒っちゃったじゃないか」

「怒らせとけば? どんな瑞稀でも、受け止める度量がなくちゃ上手くいかないだろう?」

「おや? 航大君は、どんな僕でも受け入れてくれるのかな?」

「……さぁな?」

 そう言って顔を見合わせて笑っていると、カシャッとシャッター音が聞こえて来た。

 音の方を見ると、のじちゃんが眼鏡を光らせて親指を立て、

「Good BOY」

 そう口を動かして去って行った。

 のじちゃん、放課後……漫研に行くからね!

 僕はご満悦な顔で去って行くのじちゃんの背中にそう呟き、ため息をついた。