エレベーターからそのまま部屋って・・・しかも小春が住んでいた家くらいのリビング?客間?みたいなところだ。
猫足のソファ、もちろんソファーの布地は細やかな刺繍がされている。壁側にある棚も猫足。
棚の中にはオシャレなグラスや食器が飾られている。
ソファの間にあるテーブルも猫足で、側面は綺麗な彫刻がされていた。
石油王か何かですか?とツッコミを入れたくなる気持ちを抑えながら、小春はトキの座っているソファの方へ向かう。
ソファにはトキが、その後ろには秘書の月影翡翠が立っていた。
翡翠はキレイ系美人で、身長も少し高めの175センチある。真っ白な肌に真っ黒な髪が映える。
その身長でいつも10センチくらいあるヒールを履いているから女優さんかというくらいの存在感がある。今日は濃紺のスーツ、ブラウスは真っ白、シンプルなシルバーのネックレス、桜をモチーフにしたシルバーのピンを着けている。
トキが旧都に来るときは必ず翡翠も一緒にいるので、顔見知りになった。スケジュール管理から車の手配、トキの日常生活のフォローなどなんでもやっているそうだ。
秘書兼家政婦ではないかと小春は思ってしまう。
そして、翡翠の隣には初めてお会いする青年がいた。
ヒールを履いた翡翠と同じくらいの身長。185センチはあるだろうか?
真っ白な肌に赤ベースのブラウンの髪、整った顔立ち、耳のピアスにはキラキラと光る石が着いている。ダイヤモンドだろうか?
彼は紫がベースの濃紺にうっすらストライプが入った、繊維の細い欧州産と思われる生地を使ったスーツを着ている。ネクタイもスーツに合わせて濃紺だ。
シャツは真っ白。花をモチーフにしたシルバーのカフスボタン。
この若さでカフスボタンを着けるって、どこまでオシャレにこだわる人なんだろう?
靴はブラウンの今風の革靴。髪のブラウンに合っている。
青年は少し緊張した面持ちで立っている。
「おばあちゃん、ご無沙汰しております。小春、ただ今、到着しました。」
小春はトキにペコリとお辞儀をする。後ろの二人にも会釈でご挨拶する。
二人とも綺麗な姿勢で会釈を返してくれる。
翡翠さんの前では孫として振る舞っても良いのだが、今日は知らない青年が同席しているため少しだけかしこまって挨拶をした。
「まあ、座りな」
トキの正面にある1人掛けのソファに腰を下ろす。
「改めて、大学入学おめでとう!」
「ありがとう!」
「小春のこれからの住まいと生活用品はもうこっちでそろえてある。
大学から徒歩10分の2LDKのマンションだから」
「ありが・・・え?おばあちゃん、私、独り暮らしなのに2LDKに住むの?」
大学の入学金・授業料・新生活の用品等はすべてトキが準備するという話は聞いていた。実際に動いているのは翡翠さんだろうけど。
でも2LDKは小春には大きすぎる。
夢幻の郷でも家族三人で3LDKだった。
「一人で2LDKに住めなんて贅沢はさせないよ。
ここにいる月影狼弦とルームシェアをしてもらう」
「え・・・」
翡翠さんの隣にいる青年、月影狼弦と目が合う。
彼はもう先に話を聞いているのか小春と目が合っても表情一つ変わらない。
「えーーー!!」
小春の声が広い部屋に響き渡る。
