夢見る乙女は狼の守護のもとに 〜守られて愛されて一国を支える姫になる物語〜

 3月22日、13時50分。
 
 帝都、桜本町。

 帝都は人がたくさんいるとテレビで見てはいたが、ここまでとは。

 小春は電車に乗って移動した。揺れよりも人にが多すぎて酔いそうになった。

 小春は普段より少しオシャレをした。ラベンダー色のワンピースに白いジャケット。黒のパンプスは肩より少し長めのストレートと同じ色だ。

 トキから送られてきたURLのビルの前に着いた。

 30階以上あるであろう新しいビル。アサヒビルディング。

 それがこのビルの名前らしい。ネーミングセンスに歴史を感じる。たぶん、トキが名付けたのだろう。

「おばあちゃん、ビルの前に着いたけど、どうしたら良い?」

「とりあえず、受付で自分の名前言って35階までおいで」

 トキに電話をしたら、簡潔に指示が出た。
 
 無数の摩天楼が立ち並ぶ中、綺麗な水色がかったシルバーのビルがひときわ輝いている。

 小春はドキドキしながらビルの中に足を踏み入れる。

 入ってすぐに受付があった。

 ビルの輝きにも負けないくらい綺麗な女性が二人座っている。

「これが帝都か・・・」

 小春は受付の女性の綺麗さ、輝きにも圧倒されている。

「あの・・・木花小春です。祖母に会いに来ました」

「木花様ですね。ご案内いたします」

 すぐにビルのエレベーターホールのほうに案内された。そして、エレベーターホールを通り越して、奥の個室に入る。

 個室にはエレベーターの扉と調度品があるだけだった。

 女性がジャケットの胸についていた名札を取ってエレベーターの扉横の調度品にかざす。

 エレベーターの扉が開く。

 エレベーターの中は洗練されたデザインで、上には夜空を思わせるような星座がちりばめられていた。

「こちらのエレベーターは35階、直通です。ボタンを押さなくても動きますので、そのままお待ちください」

 小春は受付の女性にそういわれて、エレベーターに乗った。

 ここからは一人になるらしい。

「案内いただきまして、ありがとうございます」

 小春はペコリとお辞儀をした。女性はエレベーターが閉まるまで90度に近い深いお辞儀をしたままだった。

 ここまで丁寧にされると、余計に緊張してくる。

 エレベーターは35階まで上がっていく。途中、気圧の変化で耳に違和感がして耳抜きをする。

 エレベーターが止まって、扉が開く。

「小春、よく来たね」

 そのまま部屋があった。