翌日、4月2日。狼弦は変わらずヤマトオオカミに先祖返りをしたままだった。
トキが来た。すぐに狼弦をモフモフし始めた。
トキは夢紡の姫。
姫に触られているのに、昨日、小春に触れられた時のような気持ちは起きなかった。木花家と月影家のつながりより、契約のほうが上回るようだ。
狼弦は冷静に自己分析をする。
トキから父の狼峰について聞かれた。詳しいことは言えない。
ヤマトオオカミになっているので表情に出にないこと、話せないことが功を奏している。
トキから小春にいろいろと今後についての指導があった。狼弦は我関せずで過ごしていたが、どうも、トキ様が来たときから伯母の翡翠の視線が痛い。
まじまじと見られている。人間の姿で会っているときと違う感じがした。
表情には出していないが、気がつくと見られている。
翡翠がどういう感情なのかは読めないし、感じ取れない。拒否はされていない。でも、友好的でもない。
観察されている状態に近い視線な気がする。
なんとも気まずい。
そう思っているとトキと小春の話が終わった。トキは再び狼弦をなでて帰っていった。
トキと言い、小春と言い、やたらと狼弦をなでる。
これは木花家の人間だからなのか?それとも、動物をなでるのが好きな人間がたまたま近くに2人いただけなのか。
答えは出ない。
その後も小春は時間ができると狼弦をなでた。
小春は毎回、「モフモフ気持ちい、癒される」など言っていた。心の声が駄々洩れている気がする。
その度《たび》に狼弦には小春を守りたいという気持ちが湧いてくる。少しずつ慣れてきているが、人間でいたら表情に出てしまうくらいの強い感情だった。
やはりこれは月影の血が影響しているように感じる。
姫よりも小春に強くそう感じるのは契約のせいか・・・
長い歴史の中に刻まれた血の感情。狼弦自身ではコントロールできないような、不思議な感情だった。
4月3日、夕方。
狼弦の体の中がまた熱くなってきた。たぶん、人間に戻る時が近い。
あの時と同じ感じになってくる。
小春は狼弦をなでていた。申し訳ないがそれを中断して自分の部屋に戻った。
狼弦はベッドに横たわる。
熱い・・・苦しい・・・
また内臓と四肢を燃やすような熱が全身を駆け巡る。
「・・・っ」
しばらくすると、熱が落ち着き、呼吸も整ってくる。
体は人間に戻っていた。
まるで今までのことが夢だったのではないのかというくらい。でも、まだ嗅覚と聴覚は敏感さが残っている。
先祖返りは夢ではなかった。
長く部屋にいてはまた小春を心配させてしまう。
狼弦は気持ちを落ち着けて部屋から出た。リビングに戻る。
小春はソファに座って本を読んでいた。狼弦がリビングに入ってくると安心した表情をした。
小春の顔をまっすぐ見れない。
警護するはずが、小春を混乱させてしまった。
申し訳なさと情けなさが溢れてくる。
そんな狼弦の心を小春の声が柔らかく包み込む。
「狼弦、おかえり」
狼弦は心の中で決意した。今、話せることは全て小春に話そうと。
トキが来た。すぐに狼弦をモフモフし始めた。
トキは夢紡の姫。
姫に触られているのに、昨日、小春に触れられた時のような気持ちは起きなかった。木花家と月影家のつながりより、契約のほうが上回るようだ。
狼弦は冷静に自己分析をする。
トキから父の狼峰について聞かれた。詳しいことは言えない。
ヤマトオオカミになっているので表情に出にないこと、話せないことが功を奏している。
トキから小春にいろいろと今後についての指導があった。狼弦は我関せずで過ごしていたが、どうも、トキ様が来たときから伯母の翡翠の視線が痛い。
まじまじと見られている。人間の姿で会っているときと違う感じがした。
表情には出していないが、気がつくと見られている。
翡翠がどういう感情なのかは読めないし、感じ取れない。拒否はされていない。でも、友好的でもない。
観察されている状態に近い視線な気がする。
なんとも気まずい。
そう思っているとトキと小春の話が終わった。トキは再び狼弦をなでて帰っていった。
トキと言い、小春と言い、やたらと狼弦をなでる。
これは木花家の人間だからなのか?それとも、動物をなでるのが好きな人間がたまたま近くに2人いただけなのか。
答えは出ない。
その後も小春は時間ができると狼弦をなでた。
小春は毎回、「モフモフ気持ちい、癒される」など言っていた。心の声が駄々洩れている気がする。
その度《たび》に狼弦には小春を守りたいという気持ちが湧いてくる。少しずつ慣れてきているが、人間でいたら表情に出てしまうくらいの強い感情だった。
やはりこれは月影の血が影響しているように感じる。
姫よりも小春に強くそう感じるのは契約のせいか・・・
長い歴史の中に刻まれた血の感情。狼弦自身ではコントロールできないような、不思議な感情だった。
4月3日、夕方。
狼弦の体の中がまた熱くなってきた。たぶん、人間に戻る時が近い。
あの時と同じ感じになってくる。
小春は狼弦をなでていた。申し訳ないがそれを中断して自分の部屋に戻った。
狼弦はベッドに横たわる。
熱い・・・苦しい・・・
また内臓と四肢を燃やすような熱が全身を駆け巡る。
「・・・っ」
しばらくすると、熱が落ち着き、呼吸も整ってくる。
体は人間に戻っていた。
まるで今までのことが夢だったのではないのかというくらい。でも、まだ嗅覚と聴覚は敏感さが残っている。
先祖返りは夢ではなかった。
長く部屋にいてはまた小春を心配させてしまう。
狼弦は気持ちを落ち着けて部屋から出た。リビングに戻る。
小春はソファに座って本を読んでいた。狼弦がリビングに入ってくると安心した表情をした。
小春の顔をまっすぐ見れない。
警護するはずが、小春を混乱させてしまった。
申し訳なさと情けなさが溢れてくる。
そんな狼弦の心を小春の声が柔らかく包み込む。
「狼弦、おかえり」
狼弦は心の中で決意した。今、話せることは全て小春に話そうと。
