「さて、小春、あんたの力についてだね」
トキは真っ直ぐに小春を見る。トキから発せられる空気が変わった。
小春は真面目な顔で小さくうなずく。
春の日差しが暖かいリビング。トキと小春の間には少しだけ張り詰めた空気が広がる。
二人を見つめる翡翠と狼弦の視線は落ち着いている。これからのことについて心配はしていない。見守るだけだ。
「おばあちゃん、私、どうしたら良いのか・・・今まで瞑想と夢日記はきちんとやってきた。でも、今、ヤマトオオカミになっている狼弦を目の前に何もできない」
「焦らない。まずは自分の状態を見つめてごらん。瞑想と夢日記をきちんとこなしていること、小春から出ている力で分かるんだよ」
「え・・・おばあちゃん、そんなことまで分かるの?」
「そりゃ、もちろん」
トキくらいに夢紡の御力を使えるようになるとそこまで分かるのか。
小春は感心してしまう。自分には見えていない世界。力の違いを嫌でも実感する。
「小春、焦らなくていい。力をコントロールできれば良い。
まずは自分の夢に干渉してごらん」
「夢に?」
「そう、夢に干渉するんだよ。夢の中で『これは自分の夢だ』と確信ができたら、その流れを自分で動かしてみるんだよ。例えば怖い人から追いかけられていたら、走って逃げるだけじゃなくて空を飛んで逃げてみるとか」
トキの例え話が分かりやすい。夢の中で『これは自分の夢だ』ってなることがあるのだろうか?小春はそんな経験、今まで一度もない。
「夢の中で空飛ぶ?おばあちゃん、やったことあるの?」
とりあえず、空を飛んだことがあるかどうかトキに聞いてみる小春。
「若い頃にね、やったことあるよ。『これは私の夢。私が支配できる』って思った瞬間もうやりたい放題よ」
「やりたい放題って・・・」
「若い頃の話だからね。今はもうやってないよ。自分の夢に干渉できるようになったら、とりあえず私に連絡するんだよ。大丈夫。小春ならできる」
やったんだ・・・やりたい放題。詳細を聞くのは怖いのでやめておく。
トキは小春の気持ちを上手に上げていく。自分の力が狼弦へも影響している可能性がある。
できるか分からないけど、まずはやってないと。
これからのためにもきっと必要なことだ。
「やってみる。これも夢日記に残しておいた方が良い?」
「そうだね、その方が自分がどこまでコントロールできるようになったか分かりやすいね。やってごらん」
トキは優しく微笑んだ。小春が今の状況を自分の目で理解し、客観的に分析し、解決策を考えようとしている姿勢をしっかり受け止めている。
孫の成長を楽しむ祖母として、木花家のトップとして。
「さてさて、難しいお話は終わりだ。これで私は失礼するよ。次は入学式だね。
狼弦、本当にいい毛並みだね。次は人間の姿で会おうね」
トキは狼弦を最後にモフモフしてから翡翠と部屋を出ていった。
リビングには小春とヤマトオオカミになった狼弦。小春はそっと狼弦の隣に行ってモフモフする。
「良い毛並みだね~、狼弦」
モフモフを続ける小春。呆れてため息をつく狼弦。
小春はヤマトオオカミに狼弦を心置きなくモフモフしているが、つまりそれは狼弦をなでているという状態であることに気が付いていない。
きっと気が付いた時には恥ずかしくてしばらく部屋から出られないだろう。
トキは真っ直ぐに小春を見る。トキから発せられる空気が変わった。
小春は真面目な顔で小さくうなずく。
春の日差しが暖かいリビング。トキと小春の間には少しだけ張り詰めた空気が広がる。
二人を見つめる翡翠と狼弦の視線は落ち着いている。これからのことについて心配はしていない。見守るだけだ。
「おばあちゃん、私、どうしたら良いのか・・・今まで瞑想と夢日記はきちんとやってきた。でも、今、ヤマトオオカミになっている狼弦を目の前に何もできない」
「焦らない。まずは自分の状態を見つめてごらん。瞑想と夢日記をきちんとこなしていること、小春から出ている力で分かるんだよ」
「え・・・おばあちゃん、そんなことまで分かるの?」
「そりゃ、もちろん」
トキくらいに夢紡の御力を使えるようになるとそこまで分かるのか。
小春は感心してしまう。自分には見えていない世界。力の違いを嫌でも実感する。
「小春、焦らなくていい。力をコントロールできれば良い。
まずは自分の夢に干渉してごらん」
「夢に?」
「そう、夢に干渉するんだよ。夢の中で『これは自分の夢だ』と確信ができたら、その流れを自分で動かしてみるんだよ。例えば怖い人から追いかけられていたら、走って逃げるだけじゃなくて空を飛んで逃げてみるとか」
トキの例え話が分かりやすい。夢の中で『これは自分の夢だ』ってなることがあるのだろうか?小春はそんな経験、今まで一度もない。
「夢の中で空飛ぶ?おばあちゃん、やったことあるの?」
とりあえず、空を飛んだことがあるかどうかトキに聞いてみる小春。
「若い頃にね、やったことあるよ。『これは私の夢。私が支配できる』って思った瞬間もうやりたい放題よ」
「やりたい放題って・・・」
「若い頃の話だからね。今はもうやってないよ。自分の夢に干渉できるようになったら、とりあえず私に連絡するんだよ。大丈夫。小春ならできる」
やったんだ・・・やりたい放題。詳細を聞くのは怖いのでやめておく。
トキは小春の気持ちを上手に上げていく。自分の力が狼弦へも影響している可能性がある。
できるか分からないけど、まずはやってないと。
これからのためにもきっと必要なことだ。
「やってみる。これも夢日記に残しておいた方が良い?」
「そうだね、その方が自分がどこまでコントロールできるようになったか分かりやすいね。やってごらん」
トキは優しく微笑んだ。小春が今の状況を自分の目で理解し、客観的に分析し、解決策を考えようとしている姿勢をしっかり受け止めている。
孫の成長を楽しむ祖母として、木花家のトップとして。
「さてさて、難しいお話は終わりだ。これで私は失礼するよ。次は入学式だね。
狼弦、本当にいい毛並みだね。次は人間の姿で会おうね」
トキは狼弦を最後にモフモフしてから翡翠と部屋を出ていった。
リビングには小春とヤマトオオカミになった狼弦。小春はそっと狼弦の隣に行ってモフモフする。
「良い毛並みだね~、狼弦」
モフモフを続ける小春。呆れてため息をつく狼弦。
小春はヤマトオオカミに狼弦を心置きなくモフモフしているが、つまりそれは狼弦をなでているという状態であることに気が付いていない。
きっと気が付いた時には恥ずかしくてしばらく部屋から出られないだろう。
