夢見る乙女は狼の守護のもとに 〜守られて愛されて一国を支える姫になる物語〜

 小春は合格の報告を両親へも連絡した。

 両親と小春の3人暮らし。外観は昔ながらの日本家屋。

 内装はリノベーションして洋風になっている。

 小春の両親は二人とも在宅で仕事をしているので部屋に行けば直接伝えることができるが、ミーティング中だといけないのでSNSにした。

 小春のお母さんは夢紡(ゆめつむぎ)の御力(みちから)はほとんどない。

 小春も従姉妹たちに比べたらないほうである。

 夢紡の姫になることはないため気軽に生活している。

 トキに言われた通り訓練はしているが生活に支障が出ない程度にやればいいと思っている。

 夢紡の御力は上手に使えないと夢と現実の区別がつかなくなったり、眠ったまま起きられなくなってしまうらしい。

 長い歴史の中で分かった事実のようだ。

 小春もその話を小さい頃に聞いて、日々の訓練だけはしっかりやろうと思い続けている。

 朝と寝る前、「瞑想」は必ず5分はする。
 
 頭の中を空っぽにして気持ちの整理をすることはクリアな思考を作り、夢紡の御力をコントロールしやすくなるらしい。

 「夢日記」も続けている。夢の中での出来事は忘れやすいが、夢紡の御力が現れたときは長期的な記憶に残る。そして、時にいくつかのパターンを視(み)る。

 それは自分の人生に関わること、周りの人に関わること、国内・世界情勢に関わること様々だ。

 夢紡の力は、特定の個人のために使用してはならない。
 夢紡の力は、自分自身の私利私欲のために使用してはならない。

 どんな夢を視てもこの契約に則(のっと)って行動していかなくてはならないため、気持ちを強く持つことも必要だ。

 気持ちの訓練にもなっている。

 小春の夢紡の御力はそこまででもないため、大学受験の結果も先に視ることはできなかった。

 噂では夢紡の姫として最初に帝に仕えた淡雪様くらいになると自分の人生も夢で視れるようになってしまうようだ。

 良いことも悪いことも視られるらしい。

 そこまで強い夢紡の御力じゃなくてよかったと小春は思いながら過ごしていた。 

 トキの話ではそこまで強い力を持っていると自分の最後も分かってしまうとのことだった。

 人生の中で知りたくないことだってある。

 何もかも分かってしまったらたぶん、楽しみが半減してしまう。

 ほどほどに楽しめている今くらいが一番楽しいと小春は思っている。