夢見る乙女は狼の守護のもとに 〜守られて愛されて一国を支える姫になる物語〜

 店内には欧米で流行っているのであろうダンスミュージックが流れていた。

 大和国の音楽とはベースの何かが違うなと小春は感じながら聞いていた。

 店内で食事をしている外国の方は鼻歌を歌い、体でリズムを取りながらバーガーを食べていた。

 小春は小さい頃にそれなりにしっかりと食事の時のマナーを教わったが、常識が覆る瞬間に感じた。

 感じてはいても、真似はしない。

 いつも通り普通に食べるのが良い。

「お待たせしました。アボカドバーガーのセットとチーズ&チーズバーガーのセット、チキンナゲットになります」

 男性の店員さんが出来上がったバーガーを持ってきてくれた。

 狼弦と同じくらい身長があると思われる、金髪碧眼のお兄さんだった。

 よくおとぎ話で出てくる王子様みたいだった。

「ありがとうございます」

 狼弦がお礼を言うと、にっこり笑顔になって厨房のほうに入っていった。

 小春はぼーっと見とれてしまった。

「ああいう感じの人が好み?」

 狼弦は少し冗談っぽく話しかけてきた。

「分からないけど、昔読んだ絵本に出てくるような人だなって思って・・・」

 小春はボソッと話す。

「あっ、別に白馬の王子様に憧れているとかじゃないから。本当にまんまの人っているんだなって思って」

 そして慌てて訂正する。狼弦に白馬の王子様に青焦がれてる脳みそお花畑な子だと思われたくなかった。

 なぜって、それは相手が狼弦だからとしか言えない。

「ふーん。まあ、あの人は・・・」

 狼弦は何かを言おうとして止めた。

「え?何?」

「なんでもないよ。冷める前に食べようっか」

 小春が聞いても教えてはもらえなかった。話題をバーガーに持っていかれてしまった。

「そうだね、食べよっか」

 知ってはいけない領域もある・・・小春はそう思って敢えて流されることにした。

 狼弦の仕事に関してはあまり頭を突っ込みすぎると、後日、トキに呼び出されてしまいそうだし。

 とりあえず、バーガーを一口。

「美味しい~」

 バンズは温かくて少し甘みがある。パテは牛肉が牛肉らしい。

 トマトは甘みと酸味のバランスが良く、ケチャップとマスタード、オニオンやピクルスとも相性が良い。

 何よりもチーズが良い味を出している。チェダーチーズとモッツアレラチーズ。どちらも本場の物を使っているのだろう。旨味が違う。

 美味しくて黙々と食べてしまう。

 ちらっと狼弦を見ると、狼弦も黙々と食べていた。きっと美味しいのだろう。

 会ってから数日だが大人っぽかったり、小春をからかったりする部分は子供のようだったり。でも、こういう時は年相応の青年に見える。

 狼弦と目が合う。

 少し気まずくて目をそらす。たぶん、自宅で食事をするときはもう少し距離があるからだろう。

 小さいテーブルのせいかいつもより近い。急に緊張してしまった。

「ナゲット、マスタードソースだったけど、大丈夫だった?」

 小春の表情に気づいていないのか、ソースの好みを確認してきた。もしかしたら気を使われているかもしれない。

「マスタード好きだから大丈夫」

「一緒だな」

 好みが一致した。

 とってもジャンキーなハンバーガーを食べて、昼が過ぎていく。