「カウンターに置くなら、綺麗にしないと」
「……構わねぇが」
「とにかく、お店の衛生的にも良くないから、僕、こいつを洗いますよ」
颯はそう言うと、
「な~、クマ男。お前だって、綺麗になりたいよな~」
「うん」
クマ男を頷かせ、勝手に返事を代弁する。
「そうだよな~。ってことで」
クマのぬいぐるみと会話する颯を呆れた顔で見ていた明生は、深い溜め息をついた。
「とりあえず、案内するからついて来い」
そう言ったあと、葉月の隣に座る常連客へ目線を送り、
「黒さん、悪い。ちょっと外すわ」
「おう、了解。……明生、十代に手ぇ出すなよ」
その言葉に、明生は眉を顰めた。
「ガキに手ぇ出すかよ」
──その瞬間。
颯がギギギ……っと、錆び付いたロボットみたいな動きで振り返る。
「僕、二十三歳ですから!!」
そう叫ぶと、店内が一斉にざわついた。
颯がますます唇を尖らせる。
「ほら、良いから行くぞ」
明生はそう言って歩き出した。
ヒラヒラと手を振る葉月を横目に、颯を住居スペースへと案内する。
風呂場へ案内し、使い方を手短に説明すると、颯はクマのぬいぐるみを浴槽の蓋の上へ置くなり、濡れた衣類を脱ぎ出した。
「おいっ!」
思わず声を上げる。
だが颯は、脱いだ衣類を濡れたまま洗濯カゴへ放り込んだ。
「バカ! 濡れた服は洗濯機に入れろ!」
慌てて濡れた衣類を拾い上げ、洗濯機へ放り込む。
洗濯・乾燥のボタンを押した。
『ピロリロリーン』
洗濯機の音を聞いてホッと胸を撫で下ろした、その瞬間。
(いや、違うだろ!)
顔を上げた明生の目に飛び込んできたのは、全裸でクマのぬいぐるみを抱き上げ、
「じゃあ、お風呂借りますね~」
と笑う颯の姿だった。
『バタン』
扉が閉まる音とともに、明生は思わず呟いた。
「全裸見て、初めて萎えたわ……」
そして、思わず吹き出す。
本当は、少しからかってやるつもりだった。
世間知らずの颯に、ほんの少し世間ってヤツを教えてやろうと思っていた明生だったが。
「あれは……ねぇな」
思わず呟き、頭を掻きながら店へと戻った。
店が終わって部屋へ戻ると、綺麗にふわふわになったクマのぬいぐるみを抱き締め、勝手に明生のベッドのど真ん中で大の字になって寝ている颯がいた。
だぶだぶの明生のシャツに下着だけ。
生足を晒した姿を見て、
「坊主、風邪引くぞ」
と、気づけば掛け布団を掛けていた。
「俺は保護者か!」
思わず自分にツッコミながら、ふと思い出す。
……アイツの時は、生足見せられたら押し倒したもんだけど。
ヨダレを垂らしてカーカーと寝息を立てる颯を眺めながら、明生は苦笑いを浮かべて缶ビールを開けた。
テーブルには、颯が作ったのであろう簡単なおつまみが置かれていた。
『勝手に冷蔵庫の中身、使ってごめんクマ』
クマのイラスト入りのメモに小さく笑い、明生は煙草へ火を点けた。
ゆっくりと煙を吐き出す。
この日から、二人の生活が始まった。
「……構わねぇが」
「とにかく、お店の衛生的にも良くないから、僕、こいつを洗いますよ」
颯はそう言うと、
「な~、クマ男。お前だって、綺麗になりたいよな~」
「うん」
クマ男を頷かせ、勝手に返事を代弁する。
「そうだよな~。ってことで」
クマのぬいぐるみと会話する颯を呆れた顔で見ていた明生は、深い溜め息をついた。
「とりあえず、案内するからついて来い」
そう言ったあと、葉月の隣に座る常連客へ目線を送り、
「黒さん、悪い。ちょっと外すわ」
「おう、了解。……明生、十代に手ぇ出すなよ」
その言葉に、明生は眉を顰めた。
「ガキに手ぇ出すかよ」
──その瞬間。
颯がギギギ……っと、錆び付いたロボットみたいな動きで振り返る。
「僕、二十三歳ですから!!」
そう叫ぶと、店内が一斉にざわついた。
颯がますます唇を尖らせる。
「ほら、良いから行くぞ」
明生はそう言って歩き出した。
ヒラヒラと手を振る葉月を横目に、颯を住居スペースへと案内する。
風呂場へ案内し、使い方を手短に説明すると、颯はクマのぬいぐるみを浴槽の蓋の上へ置くなり、濡れた衣類を脱ぎ出した。
「おいっ!」
思わず声を上げる。
だが颯は、脱いだ衣類を濡れたまま洗濯カゴへ放り込んだ。
「バカ! 濡れた服は洗濯機に入れろ!」
慌てて濡れた衣類を拾い上げ、洗濯機へ放り込む。
洗濯・乾燥のボタンを押した。
『ピロリロリーン』
洗濯機の音を聞いてホッと胸を撫で下ろした、その瞬間。
(いや、違うだろ!)
顔を上げた明生の目に飛び込んできたのは、全裸でクマのぬいぐるみを抱き上げ、
「じゃあ、お風呂借りますね~」
と笑う颯の姿だった。
『バタン』
扉が閉まる音とともに、明生は思わず呟いた。
「全裸見て、初めて萎えたわ……」
そして、思わず吹き出す。
本当は、少しからかってやるつもりだった。
世間知らずの颯に、ほんの少し世間ってヤツを教えてやろうと思っていた明生だったが。
「あれは……ねぇな」
思わず呟き、頭を掻きながら店へと戻った。
店が終わって部屋へ戻ると、綺麗にふわふわになったクマのぬいぐるみを抱き締め、勝手に明生のベッドのど真ん中で大の字になって寝ている颯がいた。
だぶだぶの明生のシャツに下着だけ。
生足を晒した姿を見て、
「坊主、風邪引くぞ」
と、気づけば掛け布団を掛けていた。
「俺は保護者か!」
思わず自分にツッコミながら、ふと思い出す。
……アイツの時は、生足見せられたら押し倒したもんだけど。
ヨダレを垂らしてカーカーと寝息を立てる颯を眺めながら、明生は苦笑いを浮かべて缶ビールを開けた。
テーブルには、颯が作ったのであろう簡単なおつまみが置かれていた。
『勝手に冷蔵庫の中身、使ってごめんクマ』
クマのイラスト入りのメモに小さく笑い、明生は煙草へ火を点けた。
ゆっくりと煙を吐き出す。
この日から、二人の生活が始まった。

