「風邪だね」
診察バッグを手に現れた西園寺さんは、診察を終えるなりそう言った。
「今日は温かくして、ゆっくり休んでなさい」
にっこり微笑んで言われ、颯は素直に頷いた。
西園寺さんは聴診器を片付けながら、
「そうそう、見たよ。貼り紙」
そう言って吹き出した。
「ちゃんと貼ってくれてるんだ!」
颯が叫ぶと、
「そりゃあ、可愛い颯君のお願いだからね。私たちが放っておかないよ。明生は渋々を装っていたけど、大人しく貼ってるところを見ると、満更でもないんじゃないかな?」
ニコニコ笑いながら言われ、颯は鼻の頭を掻いた。
「颯君、ありがとうね」
不意にそう言われ、颯は首を傾げる。
「あの子は……秀一君を失ってから、投げやりになってしまってね。荒れていたかと思ったら、今度は人生まで投げ出したようになってね。どうしたもんかと思っていたんだ」
ぽつりと呟かれ、
「僕は何も……」
颯が慌てて首を横に振ると、
「なんだかんだ言って、颯君の面倒を見ているあの子を見て、安心したんだよ」
そう言って、西園寺さんは優しく颯の頭を撫でた。
「どうしようもない大人だけど、見捨てないであげてね」
「見捨てるなんて……そんな……」
首を振る颯に、西園寺さんは微笑む。
「さて、心配性な明生のところに戻るかな」
そう言って「どっこいしょ」と立ち上がる西園寺さんの手を、颯はとっさに取った。
「颯君は、本当に良い子だね」
西園寺さんは再び颯の頭を撫で、店へ下りて行った。
診察バッグを手に現れた西園寺さんは、診察を終えるなりそう言った。
「今日は温かくして、ゆっくり休んでなさい」
にっこり微笑んで言われ、颯は素直に頷いた。
西園寺さんは聴診器を片付けながら、
「そうそう、見たよ。貼り紙」
そう言って吹き出した。
「ちゃんと貼ってくれてるんだ!」
颯が叫ぶと、
「そりゃあ、可愛い颯君のお願いだからね。私たちが放っておかないよ。明生は渋々を装っていたけど、大人しく貼ってるところを見ると、満更でもないんじゃないかな?」
ニコニコ笑いながら言われ、颯は鼻の頭を掻いた。
「颯君、ありがとうね」
不意にそう言われ、颯は首を傾げる。
「あの子は……秀一君を失ってから、投げやりになってしまってね。荒れていたかと思ったら、今度は人生まで投げ出したようになってね。どうしたもんかと思っていたんだ」
ぽつりと呟かれ、
「僕は何も……」
颯が慌てて首を横に振ると、
「なんだかんだ言って、颯君の面倒を見ているあの子を見て、安心したんだよ」
そう言って、西園寺さんは優しく颯の頭を撫でた。
「どうしようもない大人だけど、見捨てないであげてね」
「見捨てるなんて……そんな……」
首を振る颯に、西園寺さんは微笑む。
「さて、心配性な明生のところに戻るかな」
そう言って「どっこいしょ」と立ち上がる西園寺さんの手を、颯はとっさに取った。
「颯君は、本当に良い子だね」
西園寺さんは再び颯の頭を撫で、店へ下りて行った。

