「大丈夫……とは?」
葉月の言葉に首を傾げる颯に、葉月はうっとりと呟いた。
「いやさ、分かる、分かるわよ。明生、上手いもんね~。ノンケをこっちにしたの、二人目? アタシも、未だに明生との夜は忘れられないもの」
その瞬間。
「おい、そこのオカマ。……それ以上、余計なことを言ったらぶっ殺すぞ」
明生が殺気立った声で呟いた。
この店に来て一ヶ月。
初めて見る明生の顔だった。
「ヤダーっ! 明生。本気で怒っちゃイヤ!」
半泣きで明生の腕にしがみつく葉月に、明生は深く長い溜め息をついた。
「考えてもみろ。これだぞ? ……ぶっちゃけ萎える」
そう呟いた明生は、自分のスマホに残っている颯の寝姿画像を葉月へ向けた。
「悪気がないのは分かるが、あまり過去の話をすんな」
「明生……やっぱり好き♡」
キスしようと飛び出した葉月の顔面を、明生は鷲掴みにして止めた。
「マジで止めろ! ここはそういう店じゃねぇんだよ!」
そう言って、そのまま葉月を席へ座らせる。
明生は手早く淹れたての珈琲をカウンターの常連客へ配ると、
「颯、ボサっとしてないで、さっさと支度しろ」
そう言って、カウンターの奥へ引っ込んでしまった。
颯は葉月の言葉にモヤモヤしながら、
「あの……葉月さんとおっさんって……」
と呟いた瞬間、
「颯! さっさとしろ!」
カウンターの向こうから、明生の怒声が飛んできた。
「あ、は~い」
慌てて、クマ男の席に掛けてあったエプロンを着ける。
店のオープンは八時。
常連客だけは、七時から店へ入れている。
時刻は七時三十分。
颯は店の看板を出したり、常連客が座っていないテーブルを拭いて回った。
各テーブルにメニューを置き、閉店後に片付けた砂糖とコーヒーシュガーの入った器を並べていく。
一通り終わった頃、
「賄いだ」
明生の淹れた珈琲と、厚切りパンに目玉焼きとベーコンを乗せたトーストが出された。
颯は両手を合わせ、
「いただきます」
と言うと、ガブリと齧り付く。
(シャキシャキレタスとトマトの輪切り入りだ!)
もしゃもしゃと夢中になって食べている姿を、明生は煙草を吸いながら眺めていた。
すると隣に座っていた葉月が、頬杖をついて呟いた。
「颯ちゃんって、本当に美味しそうに食べるわよね」
口の周りをパンのカスやら半熟卵の黄身やらでいっぱいにしたまま、颯はニカッと笑った。
「はい! 美味しいです!」
その眩しいほど屈託のない笑顔に、葉月は目を細めた。
「明生……あんたが手を出さない理由、分かった気がする」
しかし、この一枚の画像が事件を引き起こすことになるなんて、この時はまだ誰も気付いていなかった。
葉月の言葉に首を傾げる颯に、葉月はうっとりと呟いた。
「いやさ、分かる、分かるわよ。明生、上手いもんね~。ノンケをこっちにしたの、二人目? アタシも、未だに明生との夜は忘れられないもの」
その瞬間。
「おい、そこのオカマ。……それ以上、余計なことを言ったらぶっ殺すぞ」
明生が殺気立った声で呟いた。
この店に来て一ヶ月。
初めて見る明生の顔だった。
「ヤダーっ! 明生。本気で怒っちゃイヤ!」
半泣きで明生の腕にしがみつく葉月に、明生は深く長い溜め息をついた。
「考えてもみろ。これだぞ? ……ぶっちゃけ萎える」
そう呟いた明生は、自分のスマホに残っている颯の寝姿画像を葉月へ向けた。
「悪気がないのは分かるが、あまり過去の話をすんな」
「明生……やっぱり好き♡」
キスしようと飛び出した葉月の顔面を、明生は鷲掴みにして止めた。
「マジで止めろ! ここはそういう店じゃねぇんだよ!」
そう言って、そのまま葉月を席へ座らせる。
明生は手早く淹れたての珈琲をカウンターの常連客へ配ると、
「颯、ボサっとしてないで、さっさと支度しろ」
そう言って、カウンターの奥へ引っ込んでしまった。
颯は葉月の言葉にモヤモヤしながら、
「あの……葉月さんとおっさんって……」
と呟いた瞬間、
「颯! さっさとしろ!」
カウンターの向こうから、明生の怒声が飛んできた。
「あ、は~い」
慌てて、クマ男の席に掛けてあったエプロンを着ける。
店のオープンは八時。
常連客だけは、七時から店へ入れている。
時刻は七時三十分。
颯は店の看板を出したり、常連客が座っていないテーブルを拭いて回った。
各テーブルにメニューを置き、閉店後に片付けた砂糖とコーヒーシュガーの入った器を並べていく。
一通り終わった頃、
「賄いだ」
明生の淹れた珈琲と、厚切りパンに目玉焼きとベーコンを乗せたトーストが出された。
颯は両手を合わせ、
「いただきます」
と言うと、ガブリと齧り付く。
(シャキシャキレタスとトマトの輪切り入りだ!)
もしゃもしゃと夢中になって食べている姿を、明生は煙草を吸いながら眺めていた。
すると隣に座っていた葉月が、頬杖をついて呟いた。
「颯ちゃんって、本当に美味しそうに食べるわよね」
口の周りをパンのカスやら半熟卵の黄身やらでいっぱいにしたまま、颯はニカッと笑った。
「はい! 美味しいです!」
その眩しいほど屈託のない笑顔に、葉月は目を細めた。
「明生……あんたが手を出さない理由、分かった気がする」
しかし、この一枚の画像が事件を引き起こすことになるなんて、この時はまだ誰も気付いていなかった。

