「おっさん! ちょっと何してるんだよ!」
住居スペースと店を区切るドアを荒々しく開けて、大人の憩いの場である純喫茶《Amber》に、元気な声が響き渡る。
この店のマスターである明生は、咥え煙草のまま、ネルドリップで珈琲を淹れていた。
「颯ちゃん、おはよう」
五席しかないカウンターの四つを埋める常連客に手を振られ、颯は手にしていたスマホを彼らへ向けた。
「見て下さいよ! お店のSNSに、僕の寝てる姿をアップしたんですよ!」
広い店内のテーブル席にいた常連客も、ワラワラとカウンターへ集まり、颯のスマホの画面を覗き込んだ。
そこには大きなベッドのど真ん中で大の字になり、掛け布団を蹴飛ばして、クマ男と並んで寝ている颯の姿が写っていた。
しかも、パジャマ代わりのTシャツはめくれ上がり、お腹が出ている。
「あらまぁ……」
驚く葉月の隣で、西園寺さんが笑いながら呟いた。
「でもほら、ハートの横にたくさん数字が並んでるよ」
颯は一瞬、西園寺さんの言葉にほんわりしてしまったが、ハッと我に返る。
「そうじゃなくて! これは、僕がお店の良さを広く知ってもらう為に作ったアカウントなんだよ! 何で僕の寝てる姿が必要なのさ!」
地団駄を踏む颯に、葉月がうふふと笑った。
「あら、でも可愛いじゃない。ヨダレ垂らして寝ちゃって」
颯は慌てて画面を凝視した。
「ギャーっ!!」
明生は眉間に皺を寄せると、悲鳴を上げる颯の頭を掴み、デコピンした。
「颯、うるせぇ!」
「削除してやる!!」
「ご自由に。……もう、颯のお母さんから『颯の元気な姿が見られて嬉しいです』と連絡来たから必要ねぇし」
必死に削除しようとする颯に、明生は涼しい顔で答えた。
「葉月さん! あの態度、どう思いますか!」
涙目で訴える颯に、葉月は首を傾げた。
「あら、でも颯きゅんがベッド使ってるなら、明生は何処で寝てるのよ」
明生は淹れたての珈琲をカップへ注ぎながら、定位置に座るクマ男を顎で差した。
「そいつの反対側のベッドの端っこだよ」
その瞬間、葉月は颯の肩をガシッと掴む。
「颯ちゃんって、ノンケよね? 大丈夫? 明生に何かされてない?」
真剣な顔で、そう聞いてきた。
住居スペースと店を区切るドアを荒々しく開けて、大人の憩いの場である純喫茶《Amber》に、元気な声が響き渡る。
この店のマスターである明生は、咥え煙草のまま、ネルドリップで珈琲を淹れていた。
「颯ちゃん、おはよう」
五席しかないカウンターの四つを埋める常連客に手を振られ、颯は手にしていたスマホを彼らへ向けた。
「見て下さいよ! お店のSNSに、僕の寝てる姿をアップしたんですよ!」
広い店内のテーブル席にいた常連客も、ワラワラとカウンターへ集まり、颯のスマホの画面を覗き込んだ。
そこには大きなベッドのど真ん中で大の字になり、掛け布団を蹴飛ばして、クマ男と並んで寝ている颯の姿が写っていた。
しかも、パジャマ代わりのTシャツはめくれ上がり、お腹が出ている。
「あらまぁ……」
驚く葉月の隣で、西園寺さんが笑いながら呟いた。
「でもほら、ハートの横にたくさん数字が並んでるよ」
颯は一瞬、西園寺さんの言葉にほんわりしてしまったが、ハッと我に返る。
「そうじゃなくて! これは、僕がお店の良さを広く知ってもらう為に作ったアカウントなんだよ! 何で僕の寝てる姿が必要なのさ!」
地団駄を踏む颯に、葉月がうふふと笑った。
「あら、でも可愛いじゃない。ヨダレ垂らして寝ちゃって」
颯は慌てて画面を凝視した。
「ギャーっ!!」
明生は眉間に皺を寄せると、悲鳴を上げる颯の頭を掴み、デコピンした。
「颯、うるせぇ!」
「削除してやる!!」
「ご自由に。……もう、颯のお母さんから『颯の元気な姿が見られて嬉しいです』と連絡来たから必要ねぇし」
必死に削除しようとする颯に、明生は涼しい顔で答えた。
「葉月さん! あの態度、どう思いますか!」
涙目で訴える颯に、葉月は首を傾げた。
「あら、でも颯きゅんがベッド使ってるなら、明生は何処で寝てるのよ」
明生は淹れたての珈琲をカップへ注ぎながら、定位置に座るクマ男を顎で差した。
「そいつの反対側のベッドの端っこだよ」
その瞬間、葉月は颯の肩をガシッと掴む。
「颯ちゃんって、ノンケよね? 大丈夫? 明生に何かされてない?」
真剣な顔で、そう聞いてきた。

