カンカンカン
鉄のさびた音が鳴り響く。
俺は今、非常階段を駆け下りている。
何階まで降りてきただろう。
冬の夕暮れどきは風も冷たい。
ずっと階段を降りるという行為をしているおかげで幾分か温かくはある。
今のところ、ヤツらが追ってくる様子もないのは救いだ。
下に行くにつれ、今置かれている状況が非常階段越しから少しずつ見えてきた。
まず、やはりこの惨劇は病院内だけに留まっていないということ。
地上は病院以上にひどい惨状なのが階段を降りるごとに伝わってきた。
人間の悲鳴、怒号、そして忘れもしないヤツらの呻き声。
逃げ惑う人間たちとそれを追うヤツら。
まるで終末の日のような悲惨な光景。
各所で交通事故も起きているようだった。
このまま地上に降り立たず、院内で立てこもっていた方がまだ安全なんじゃないかと錯覚する。
だめだ、沙羅を1人にしてはいけない。
早く彼女の元にいって、抱きしめてあげたい。
あんなに泣きじゃくる彼女の顔が頭からこびりついて離れない。
仕方なかったとはいえ、彼女を1人にしてしまった責任は俺にあるのだから……
そう振り返ると階段を降りる速度も速くなる。
下に近づくにつれ、騒がしくなってきた。
人間はみな、自分が生き残ることに必死で他人のことなどお構いなし。
それどころか、襲われている人を置き去りに足早に逃げる者までいる始末。
「命あっての物種」とはいえ、悲惨なものだ。
そんな光景を上から見下ろしながら、ようやく地上に着いた。
我ながら10階から階段でよく降りてこられたなと自分を褒め称えたい。
そんな冗談を言っている場合ではない!
急いで彼女を探さないとっ
まずは駐車場がどこにあるのか、辺りをキョロキョロと探す。
【地下駐車場 あちら】
案内図を参考に駐車場に向かう。
途中、ヤツらにも遭遇したが、「飯時」だったようで気づかれずに済んだ。
そうして駆けていくと地下へと続くスロープが見えてきた。
「あそこだな」
いざ進もうとしたとき、ドスンドスンという地響きが鳴り響いてきた。
何かとてつもなく危険なにおいがしたので、急いで物陰に身を潜める。
スロープの下からパーカーを着た女が走って出てきた。
そのすぐ後ろにはありえないほどでかく醜悪な巨体の生き物がその女を捕まえんと走って出てきた。
「なん…だ、あれ」
あんなのに目をつけられたら終わりだ。
口を押さえ、鳴りを潜めた。
パーカーの女はそのまま道路を横断し、向かいにある建物の中に消えていった。
後を追うようにその醜悪な生き物もその建物へと向かっていったが、入ることができないようで、
その場で立ち尽くしてウロウロとしていた。
その隙を狙って俺はスロープを駆け下りていった。
そこには複数の死体とヤツらがいた。
しかし、その死体を食い漁っている最中であり、こちらのことは眼中にないようだった。
不幸中の幸いだ。
ヤツらに見つからないよう、静かにその場を後にして先へと進む。
沙羅はどこだろう。
少なくとも死体の中に彼女の姿は見当たらなかったのが救いだった。
大声を出そうにもヤツらの気を引いてしまうだけなので目視で探すしか手立てがなかった。
駐車場をくまなく走り回ってキョロキョロと彼女の姿を探すが、どこにも見当たらない。
「どこに……いったんだ…」
落胆にも似たため息をつく。
するともっと奥の方でさび付いたドアを開ける音が響き渡った。
沙羅?
少なくとも誰かはいるようだ。
期待に胸を膨らませつつ、俺は駐車場の最奥へと吸い込まれていった。
鉄のさびた音が鳴り響く。
俺は今、非常階段を駆け下りている。
何階まで降りてきただろう。
冬の夕暮れどきは風も冷たい。
ずっと階段を降りるという行為をしているおかげで幾分か温かくはある。
今のところ、ヤツらが追ってくる様子もないのは救いだ。
下に行くにつれ、今置かれている状況が非常階段越しから少しずつ見えてきた。
まず、やはりこの惨劇は病院内だけに留まっていないということ。
地上は病院以上にひどい惨状なのが階段を降りるごとに伝わってきた。
人間の悲鳴、怒号、そして忘れもしないヤツらの呻き声。
逃げ惑う人間たちとそれを追うヤツら。
まるで終末の日のような悲惨な光景。
各所で交通事故も起きているようだった。
このまま地上に降り立たず、院内で立てこもっていた方がまだ安全なんじゃないかと錯覚する。
だめだ、沙羅を1人にしてはいけない。
早く彼女の元にいって、抱きしめてあげたい。
あんなに泣きじゃくる彼女の顔が頭からこびりついて離れない。
仕方なかったとはいえ、彼女を1人にしてしまった責任は俺にあるのだから……
そう振り返ると階段を降りる速度も速くなる。
下に近づくにつれ、騒がしくなってきた。
人間はみな、自分が生き残ることに必死で他人のことなどお構いなし。
それどころか、襲われている人を置き去りに足早に逃げる者までいる始末。
「命あっての物種」とはいえ、悲惨なものだ。
そんな光景を上から見下ろしながら、ようやく地上に着いた。
我ながら10階から階段でよく降りてこられたなと自分を褒め称えたい。
そんな冗談を言っている場合ではない!
急いで彼女を探さないとっ
まずは駐車場がどこにあるのか、辺りをキョロキョロと探す。
【地下駐車場 あちら】
案内図を参考に駐車場に向かう。
途中、ヤツらにも遭遇したが、「飯時」だったようで気づかれずに済んだ。
そうして駆けていくと地下へと続くスロープが見えてきた。
「あそこだな」
いざ進もうとしたとき、ドスンドスンという地響きが鳴り響いてきた。
何かとてつもなく危険なにおいがしたので、急いで物陰に身を潜める。
スロープの下からパーカーを着た女が走って出てきた。
そのすぐ後ろにはありえないほどでかく醜悪な巨体の生き物がその女を捕まえんと走って出てきた。
「なん…だ、あれ」
あんなのに目をつけられたら終わりだ。
口を押さえ、鳴りを潜めた。
パーカーの女はそのまま道路を横断し、向かいにある建物の中に消えていった。
後を追うようにその醜悪な生き物もその建物へと向かっていったが、入ることができないようで、
その場で立ち尽くしてウロウロとしていた。
その隙を狙って俺はスロープを駆け下りていった。
そこには複数の死体とヤツらがいた。
しかし、その死体を食い漁っている最中であり、こちらのことは眼中にないようだった。
不幸中の幸いだ。
ヤツらに見つからないよう、静かにその場を後にして先へと進む。
沙羅はどこだろう。
少なくとも死体の中に彼女の姿は見当たらなかったのが救いだった。
大声を出そうにもヤツらの気を引いてしまうだけなので目視で探すしか手立てがなかった。
駐車場をくまなく走り回ってキョロキョロと彼女の姿を探すが、どこにも見当たらない。
「どこに……いったんだ…」
落胆にも似たため息をつく。
するともっと奥の方でさび付いたドアを開ける音が響き渡った。
沙羅?
少なくとも誰かはいるようだ。
期待に胸を膨らませつつ、俺は駐車場の最奥へと吸い込まれていった。



