なんとか彼女を乗せ、俺も無傷でエレベーターに乗り込むことができた。
無計画なわりには上手くいったんじゃないか?と自画自賛する。
しかし、本当に上の階でよかったのか一抹の不安はあった。
咄嗟に考えたからこのような結果になったが、多分きっと大丈夫。
そんな気がする。
するとふと、服の裾を引っ張られる。
普段、男勝りな彼女がしおらしくしているとドキッとしてしまう。
悪い気はしない。無理に引き離さず、そのまま身を任せる。
しばらく沈黙の時間が過ぎるとエレベーターが最上階に到着する。
【チーーーーーーン】
という音と共に扉が開く。
そこには病院には似つかわしくない緑に囲まれた庭園が広がっていた。
パッと見た感じ、人の気配はない。
もちろんヤツらの姿も今のところ、ない。
今のうちだとばかりに沙羅の手を引き、庭園の方まで連れていく。
こんな状況じゃなければ「彼女といちゃいちゃデート!」なんてことも出来たかもしれないが、そんな余裕はなかった。
庭園を中ほどまで進むと俺たちが乗ってきたエレベーター脇の階段から複数の人影を確認した。
一瞬、生存者かも?と思ったが、その淡い期待は瞬時に打ち壊された。
血色のない顔、ただれた唇、わずかに血痕のついた洋服、間違いない、ヤツらだ。
7,8人くらいはいるだろうか?
相変わらず走ってはこないが、それでも脅威には違いない。
先を急ぐことにした。
真正面には非常用エレベーターが設置されていた。
あれに乗ろう!
そう考えた俺は彼女の手を引き、走り出す。
彼女もその意を汲んで一緒に走ってくれた。
元々、運動神経は沙羅の方があった。
どちらかというと俺の方が根暗で内向的、いつも手を引いてくれていたのは彼女の方だった。
こんなにリードできるようになったのはきっと彼女のおかげだ。
エレーベーターに着くと、希望が絶望に変わる。
非常用というだけあって内部は狭く、大人が1人入るくらいの小スペースだったのだ。
2人くらい乗れるだろうと思っていたのだが、見事にその甘い考えが打ち砕かれてしまった。
しかし、今は悩んでいる暇もない。
男として、彼女だけは守らなければならない、そう、本能が語りかけてきた。
その想いに突き動かされ、沙羅をひしっと抱きしめた。
彼女は一瞬何をされたのか理解できないといったすっとんきょうな顔をしていた。
そんな反応にはお構いなしに畳みかけるように、
「沙羅、大好きだよ」
ちゅっ
彼女にキスをした。
本当はもっとキチンと優しいキスをしたかった。
もっとロマンチックなキスをプレゼントしたかった。
だけどもう、彼女とは会えないかもしれない。
そう思うと言葉よりも行動が先行してしまって、こんなことをしてしまった。
軽蔑されるかもしれない。
それでも、沙羅へのこの想いを最後に伝えておきたかったのだ。
彼女は相変わらず何をされたのかわからないといった様子。
その隙に彼女をエレベーターに押し込んだ。
唖然としていて、抵抗もしなかったのですんなり入ってくれたのは幸いだった。
「沙羅は生き延びるんだ」
そういって非常ボタンを押す。
ガラガラガラと音を立て、エレベーターの扉が閉まり、強制的に動き出す。
下の方で沙羅の声が響く。
『やだ!!出る!出るから!!優くんと一緒じゃなきゃやだ!!』
彼女の声がどんどん遠ざかっていく。
「ごめんね」
そう一言、言い残すとくるりと踵を返し、横にある非常階段に目をつける。
「10階から下に降りるのは骨が折れそうだなぁ」
ハハッ
と笑うとヤツらに追いつかれないよう、ドラム缶や端材で簡易的なバリケードを作りつつ、
重い足を引きずりながら非常階段を下っていった。
無計画なわりには上手くいったんじゃないか?と自画自賛する。
しかし、本当に上の階でよかったのか一抹の不安はあった。
咄嗟に考えたからこのような結果になったが、多分きっと大丈夫。
そんな気がする。
するとふと、服の裾を引っ張られる。
普段、男勝りな彼女がしおらしくしているとドキッとしてしまう。
悪い気はしない。無理に引き離さず、そのまま身を任せる。
しばらく沈黙の時間が過ぎるとエレベーターが最上階に到着する。
【チーーーーーーン】
という音と共に扉が開く。
そこには病院には似つかわしくない緑に囲まれた庭園が広がっていた。
パッと見た感じ、人の気配はない。
もちろんヤツらの姿も今のところ、ない。
今のうちだとばかりに沙羅の手を引き、庭園の方まで連れていく。
こんな状況じゃなければ「彼女といちゃいちゃデート!」なんてことも出来たかもしれないが、そんな余裕はなかった。
庭園を中ほどまで進むと俺たちが乗ってきたエレベーター脇の階段から複数の人影を確認した。
一瞬、生存者かも?と思ったが、その淡い期待は瞬時に打ち壊された。
血色のない顔、ただれた唇、わずかに血痕のついた洋服、間違いない、ヤツらだ。
7,8人くらいはいるだろうか?
相変わらず走ってはこないが、それでも脅威には違いない。
先を急ぐことにした。
真正面には非常用エレベーターが設置されていた。
あれに乗ろう!
そう考えた俺は彼女の手を引き、走り出す。
彼女もその意を汲んで一緒に走ってくれた。
元々、運動神経は沙羅の方があった。
どちらかというと俺の方が根暗で内向的、いつも手を引いてくれていたのは彼女の方だった。
こんなにリードできるようになったのはきっと彼女のおかげだ。
エレーベーターに着くと、希望が絶望に変わる。
非常用というだけあって内部は狭く、大人が1人入るくらいの小スペースだったのだ。
2人くらい乗れるだろうと思っていたのだが、見事にその甘い考えが打ち砕かれてしまった。
しかし、今は悩んでいる暇もない。
男として、彼女だけは守らなければならない、そう、本能が語りかけてきた。
その想いに突き動かされ、沙羅をひしっと抱きしめた。
彼女は一瞬何をされたのか理解できないといったすっとんきょうな顔をしていた。
そんな反応にはお構いなしに畳みかけるように、
「沙羅、大好きだよ」
ちゅっ
彼女にキスをした。
本当はもっとキチンと優しいキスをしたかった。
もっとロマンチックなキスをプレゼントしたかった。
だけどもう、彼女とは会えないかもしれない。
そう思うと言葉よりも行動が先行してしまって、こんなことをしてしまった。
軽蔑されるかもしれない。
それでも、沙羅へのこの想いを最後に伝えておきたかったのだ。
彼女は相変わらず何をされたのかわからないといった様子。
その隙に彼女をエレベーターに押し込んだ。
唖然としていて、抵抗もしなかったのですんなり入ってくれたのは幸いだった。
「沙羅は生き延びるんだ」
そういって非常ボタンを押す。
ガラガラガラと音を立て、エレベーターの扉が閉まり、強制的に動き出す。
下の方で沙羅の声が響く。
『やだ!!出る!出るから!!優くんと一緒じゃなきゃやだ!!』
彼女の声がどんどん遠ざかっていく。
「ごめんね」
そう一言、言い残すとくるりと踵を返し、横にある非常階段に目をつける。
「10階から下に降りるのは骨が折れそうだなぁ」
ハハッ
と笑うとヤツらに追いつかれないよう、ドラム缶や端材で簡易的なバリケードを作りつつ、
重い足を引きずりながら非常階段を下っていった。



