沙羅の手を引き、恐る恐る廊下を確認しようとして…
足が止まった。
廊下には大量の血痕が飛び散っていたのだ。そして、怪しく揺れる人影。
人かどうかも疑わしいが…
本能が「これは危険だ!」と警報を鳴らしている。
このまま廊下に出たら確実にやられる。
そう思い、急いでドアの横にあるベッドに仕切りをするカーテンに目がいく。
このカーテンの裏なら見つからない!
そう思い、急いで、しかし、なるべく物音を立てないよう注意をして、沙羅をカーテンに誘導する。
そのあとに自分もそこに隠れる。
『(優くん、何か見えたの?)』
「(しー!ちょっと危険、かも)」
彼女を守るように自分が前に出て、その影が通り過ぎるのを待った。
しばらくして…
〔ああああーー〕
〔うーーーうーーー〕
得体のしれない「ヤツら」が廊下をゆっくりと歩いて通り過ぎていく。
少し開いたドアから姿を見ると、見た目こそ人の形をしていたが、唇は裂け、歯茎からは血を滴らせ、
爪は剥がれ、瞳は真っ白、というか白目、足取りはヨタヨタとしており、およそ人間とは思えない様相だった。
こんなヤツらを沙羅に見せたら危険だ。
出来ることなら見せずにやり過ごしたいと思った。
彼女は震えていた。
当たり前だ。
こんな非日常がいきなり起きたんだ。
怖くて仕方ないだろう。
俺だって怖い。
得体の知れないものって怖いものだ。
だけど俺まで怖がってたら駄目だ。
彼女を、沙羅を守らなければいけない。
声を出すのもまずいと思ってそっと沙羅を優しく抱きしめることにした。
こんなときは人肌が恋しくなるものだとの考えに至ったからそうしてみた。
彼女は少し落ち着いたようで俺もホッと一息つくことができた。
それからしばらくして、ヤツらも去ったようなので廊下に出てみることにした。
いつまでもこの病室に隠れているわけにもいかないと判断したからだ。
ゆっくりと先陣を切って廊下に出てみるとそこは見るも無残な惨状だった。
ヤツらに襲われた一般患者や看護師、医師などが鮮血と共に廊下にバタバタと折り重なるように倒れていた。
『ひぃっ……』
『なに…これ…』
沙羅も見てしまったようだったが、今からでも遅くない。
あまりにもひどい光景だったので沙羅の目に手を覆って見せないよう、隠した。
彼女は嫌がることはせず、身をゆだね、こちらの意図を汲んでくれたのか目を瞑ってくれた。
目を瞑っていては危ないので、俺は彼女の手をぎゅっと掴み、誘導した。
この階にはきっとまださっきのヤツらが徘徊している。
違う階にいかなければ…!
本能がそう言っていた。
ゆっくりと足音を立てずに、しかし急ぎ足でエレベーターまで向かう。
幸い、ヤツらはそこにはおらず、上のボタンを押す。
上にしたのには理由がある。
下の階にして地上もヤツらがいたら逃げ道がないと考えたからだ。
それに、上の階には庭園などがあるだけで病棟があるわけじゃない。
ヤツらの数も少ないだろうという考えのもと、上にしたのだ。
静まり返ったこの階に静寂を終わらせる音が鳴り響く。
【チーーーーーン】
普段は何気なく聞いていて、そんなに気にしない音。
エレベーターがこの階に来たというお知らせ音が、こんなときにとてもよく響く。
しばらくして、遠くの方でヤツらのうめき声が聞こえてきた。
やはり音に敏感だったヤツらはまっすぐとこちらに歩いてきた。
俺は急いでエレベーターに沙羅を乗せ、俺も乗り込む。
最上階のボタンを押すが、閉まるまでに時間がかかる。
じれったい。
早くなるわけでもないのにカチカチカチっと閉まるボタンを連打する。
ヤツらがきた!
『はやくしまってぇぇぇぇ!!』
沙羅が半狂乱になりながら叫ぶ。
バタン
あと数秒閉まるのが遅ければヤツらも乗り込んできていたかもしれない。
それほどギリギリにエレベーターの扉が閉まった。
ホッとしたら腰が抜けたようにエレベーターの床に崩れ落ちた。
そして、2人して笑い出した。
緊張の糸が取れ、つかの間の平穏を謳歌するように。
ぎゅっと彼女が手を握ってくる。
沙羅を守れてよかったなと心からそう思った。
足が止まった。
廊下には大量の血痕が飛び散っていたのだ。そして、怪しく揺れる人影。
人かどうかも疑わしいが…
本能が「これは危険だ!」と警報を鳴らしている。
このまま廊下に出たら確実にやられる。
そう思い、急いでドアの横にあるベッドに仕切りをするカーテンに目がいく。
このカーテンの裏なら見つからない!
そう思い、急いで、しかし、なるべく物音を立てないよう注意をして、沙羅をカーテンに誘導する。
そのあとに自分もそこに隠れる。
『(優くん、何か見えたの?)』
「(しー!ちょっと危険、かも)」
彼女を守るように自分が前に出て、その影が通り過ぎるのを待った。
しばらくして…
〔ああああーー〕
〔うーーーうーーー〕
得体のしれない「ヤツら」が廊下をゆっくりと歩いて通り過ぎていく。
少し開いたドアから姿を見ると、見た目こそ人の形をしていたが、唇は裂け、歯茎からは血を滴らせ、
爪は剥がれ、瞳は真っ白、というか白目、足取りはヨタヨタとしており、およそ人間とは思えない様相だった。
こんなヤツらを沙羅に見せたら危険だ。
出来ることなら見せずにやり過ごしたいと思った。
彼女は震えていた。
当たり前だ。
こんな非日常がいきなり起きたんだ。
怖くて仕方ないだろう。
俺だって怖い。
得体の知れないものって怖いものだ。
だけど俺まで怖がってたら駄目だ。
彼女を、沙羅を守らなければいけない。
声を出すのもまずいと思ってそっと沙羅を優しく抱きしめることにした。
こんなときは人肌が恋しくなるものだとの考えに至ったからそうしてみた。
彼女は少し落ち着いたようで俺もホッと一息つくことができた。
それからしばらくして、ヤツらも去ったようなので廊下に出てみることにした。
いつまでもこの病室に隠れているわけにもいかないと判断したからだ。
ゆっくりと先陣を切って廊下に出てみるとそこは見るも無残な惨状だった。
ヤツらに襲われた一般患者や看護師、医師などが鮮血と共に廊下にバタバタと折り重なるように倒れていた。
『ひぃっ……』
『なに…これ…』
沙羅も見てしまったようだったが、今からでも遅くない。
あまりにもひどい光景だったので沙羅の目に手を覆って見せないよう、隠した。
彼女は嫌がることはせず、身をゆだね、こちらの意図を汲んでくれたのか目を瞑ってくれた。
目を瞑っていては危ないので、俺は彼女の手をぎゅっと掴み、誘導した。
この階にはきっとまださっきのヤツらが徘徊している。
違う階にいかなければ…!
本能がそう言っていた。
ゆっくりと足音を立てずに、しかし急ぎ足でエレベーターまで向かう。
幸い、ヤツらはそこにはおらず、上のボタンを押す。
上にしたのには理由がある。
下の階にして地上もヤツらがいたら逃げ道がないと考えたからだ。
それに、上の階には庭園などがあるだけで病棟があるわけじゃない。
ヤツらの数も少ないだろうという考えのもと、上にしたのだ。
静まり返ったこの階に静寂を終わらせる音が鳴り響く。
【チーーーーーン】
普段は何気なく聞いていて、そんなに気にしない音。
エレベーターがこの階に来たというお知らせ音が、こんなときにとてもよく響く。
しばらくして、遠くの方でヤツらのうめき声が聞こえてきた。
やはり音に敏感だったヤツらはまっすぐとこちらに歩いてきた。
俺は急いでエレベーターに沙羅を乗せ、俺も乗り込む。
最上階のボタンを押すが、閉まるまでに時間がかかる。
じれったい。
早くなるわけでもないのにカチカチカチっと閉まるボタンを連打する。
ヤツらがきた!
『はやくしまってぇぇぇぇ!!』
沙羅が半狂乱になりながら叫ぶ。
バタン
あと数秒閉まるのが遅ければヤツらも乗り込んできていたかもしれない。
それほどギリギリにエレベーターの扉が閉まった。
ホッとしたら腰が抜けたようにエレベーターの床に崩れ落ちた。
そして、2人して笑い出した。
緊張の糸が取れ、つかの間の平穏を謳歌するように。
ぎゅっと彼女が手を握ってくる。
沙羅を守れてよかったなと心からそう思った。



