闇から出た光

ボクの名前は沙羅。
どこにでもいる、フツーの女子高生ってやつだ。
ちょっと男勝りで活発で、口が汚いが、口を開かなければそこそこ「いい女」らしい。
別に誰かを誘惑したいわけじゃないから、お口にチャックなんてしないけど!
それに、ボクには愛する人もいる。一応。
面と向かって告白したわけじゃない。
ただ、ずっと幼馴染で腐れ縁というやつ。
恋心が芽生えたのは小学生高学年の頃。
ボクが重い病気で弱っていた時、ずっとずっと励ましてくれた。
クラスメイトなんて最初の一か月を過ぎるとお見舞いなんてしにきてくれなくなったときも、
彼、「優(ゆう)」だけはずっと来てくれた。
最初はただの幼馴染だからかなって思ってたけれど、その内、ちょっとしたことで照れたり、顔を赤くしていることに気づいた。
『ははぁん?』
ボクは彼のボクに対しての恋心に気づいてしまった。
最初は半分冗談でからかって楽しんでた。
だけどその内……
彼の恋心が本気だってことがわかってきて、ボクもドキドキさせられることが増えてきた。
そうなるとボクも【恋慕渇仰】彼のことしか見えなくなってしまった。
なんだか負けた気になるのでボクの方からは絶対告白してやらないことにしているってわけ。

さて
ボクの自己紹介はこのぐらいにして……

今、ボクは病院にいる。
なぜかって?
小学生の頃に患っていた大病の手術をしたわけなんだけど、
その手術が大掛かりだったみたいで、未だに検査にこなきゃいけないってことらしい。
胸の手術痕もうっすらと消えてきたっていうのに未だに死と隣り合わせなんてなんか…嫌だよね。
といっても、別に日常生活に特に支障があるわけでもないし、体力がなくなったとかそーゆーのもない。
全力疾走だってできちゃう!多分……
ちょっと怖くて手術以来、全力で走ったことはないんだけどね(笑)

ただの検査だっていうのに心配性の優がついてきた。
嬉しいんだけど、ちょっと照れくさい。

『ただの検査だから来なくても…いいのに!』
『心配性だなー優は』
「ははっ」
「別にいいじゃん」
「沙羅が退院してから毎日お見舞いできなくて寂しかったしさー」
「こういうときくらいいいじゃん」
『ばっ、ばっか。入院してない方がいいだろー!?』
「ははは、違いない」

検査は一日がかりの長丁場。
正直、長すぎるのがめんどくさいが、何かあってからでは遅い。
命の尊さを小学生の頃に嫌というほど思い知らされているから、疎かにはできない。
そんな検査もあらかた終わり、病室で沈みゆく夕日を眺めながら検査結果を待っているところだ。

「今回も何もないといいな」
『こんなにピンピンしてるんだよ?だいじょーぶだいじょーぶ』

ムキっとない力こぶを振り絞るポーズをする。

「ははは」
「まぁ沙羅がそう言うなら、きっと今回も大丈夫だ」
『うんうん』
『優は昔っから心配性なんだから~!』

こんな他愛ない日常が好きだ。
あの頃は……
いつ消えてしまうかもわからない死の恐怖と隣り合わせだったから。
普通が一番!

そう、思っていた。
平穏がいつまでも続いてくれていたらよかったのに………