再会した幼なじみが、怖い不良になっていた

 夜、机に向かっても、勉強に集中できなかった。
 気づくと熊澤のことを考えてしまう。
 
 俺を見て微笑んだ顔が忘れられない。
 
 熊澤とずっと一緒にいたい。
 そう思うと、あの死体が見つかってしまうことが心配になる。

 スマホで岡部宏司という名前を検索した。
 同姓同名が出てくるが、あのチンピラの情報は見当たらない。
 
 俺が殺してしまった男は何者だったのだろう。
 
 それから、田中の言っていたことは本当か?
 
 熊澤には父親がいなかったって……。

 子供の頃に見た、熊澤の父のことを思い起こす。

 熊澤と公園で遊んでいたとき、突然クラクションが聞こえた。
 前の道を大きなトラックがゆっくりと通っていく。

「あ、父ちゃんだ!」

 熊澤はそう叫んで駆けだした。

 フェンスへよじ登って大きく手を振る。
 運転席の窓から見えた、熊澤とよく似た顔。

 日焼けした太い腕が手を振り返す。
 
「豪くんのお父さんってトラックの運転手なの?」
 
「うん!」
 
「すごーい」
 
 走り去るトラックを熊澤はいつまでも見ていた。

 何があったのかはわからない。
 けれど、父親との別れで、きっと彼はつらい思いをしただろう。
 考えると胸が痛んだ。
 
 確かトラックの側面には丸花物流と書かれていた。丸花物流と検索してみる。

 隣の市に本社があったようだが、どうやら数年前に廃業しているようだ。

 HPは見当たらないが、よく探すと会社のブログが出てきた。

 当然だが、もう更新はされていない。
 熊澤が父親と暮らしていた頃の記事を探そうと、十年前まで遡ってみる。

 「毎年恒例のBBQ大会」というタイトル。

 掲載されている写真の中に、熊澤にそっくりな大柄で筋肉質の男性を見つけた。熊澤の父親だ。

 そして画面をスクロールしていくと、ある一枚の写真に目が留まる。

 缶ビールを手に熊澤の父と肩を組む男。

 背筋がゾッと震えあがった。

 あの男じゃないか……!?

 思わず画面を拡大した。

 間違いない。岡部宏司だ。

 熊澤の父と岡部は、同じ会社で働いていたのか。

 俺はしばらく画面から目を離せなかった。

 ということは――熊澤は、岡部を知っていたのか?