後夜祭のあと、クラス企画の片付けを終えて写真部の展示室に戻り、壁から作品を外していく。作品を抱え部室の扉を開けると、部長がいた。
「おつかれさまです」
「おつかれ。空いてるところに置いておいて」
文化祭が終わったら、部長は写真部を引退する。おつかれさまでした、と言おうとしたとき、「聞いた? 感想」と話を振られ曖昧に頷く。
「なにその反応」
「いや、実は思ってたものと違って」
「どういうこと」
「写真に込めた想いが伝わってなかったっていうか」
部長は机の上に置かれた俺の写真を手に取り「うん」と一言呟いた。
「海人がどんな気持ちでこれを撮ったか、キャプションでも詳しく説明しなかったろ。それじゃわかんないって。逆に言葉で書いてくれたら、すげーいい写真だって思うかもしれない」
でも、それじゃ――
「『でもそれじゃ、写真だけで勝負してない』とか言うんだろ」
呑み込んだ言葉を見透かされていて、恥ずかしさに目を伏せる。
「上野みたいな天才って、すごいよな。写真一枚から伝わってくるっていうか、引き込まれるっていうか……。だけど、それ以外にもいい写真ってたくさんあるし。俺は伝わる写真がいい写真だと思ってる。
例えばこの写真が『自転車で軽く転んだあと見上げた夕焼け』なのか『人生最後の夕焼け』なのかで印象が違ってくるだろ。キャプションだって作品の一部だと思えばいい。ただ……」
言葉が途切れて、部長のほうに視線を戻す。
「そうやって印象を定めた写真でも、抱く感想は人によって違う。いいと思われない場合もあるし、自分にはなかった視点に気づくこともある。表現するって勇気が要るけど、すげーおもしろい」
部長は小さく笑ったあと、思い出したように言った。
「そういえばさ、ちゃんと聞いたことなかったけど、海人ってなんでカメラ始めたの」
「おつかれさまです」
「おつかれ。空いてるところに置いておいて」
文化祭が終わったら、部長は写真部を引退する。おつかれさまでした、と言おうとしたとき、「聞いた? 感想」と話を振られ曖昧に頷く。
「なにその反応」
「いや、実は思ってたものと違って」
「どういうこと」
「写真に込めた想いが伝わってなかったっていうか」
部長は机の上に置かれた俺の写真を手に取り「うん」と一言呟いた。
「海人がどんな気持ちでこれを撮ったか、キャプションでも詳しく説明しなかったろ。それじゃわかんないって。逆に言葉で書いてくれたら、すげーいい写真だって思うかもしれない」
でも、それじゃ――
「『でもそれじゃ、写真だけで勝負してない』とか言うんだろ」
呑み込んだ言葉を見透かされていて、恥ずかしさに目を伏せる。
「上野みたいな天才って、すごいよな。写真一枚から伝わってくるっていうか、引き込まれるっていうか……。だけど、それ以外にもいい写真ってたくさんあるし。俺は伝わる写真がいい写真だと思ってる。
例えばこの写真が『自転車で軽く転んだあと見上げた夕焼け』なのか『人生最後の夕焼け』なのかで印象が違ってくるだろ。キャプションだって作品の一部だと思えばいい。ただ……」
言葉が途切れて、部長のほうに視線を戻す。
「そうやって印象を定めた写真でも、抱く感想は人によって違う。いいと思われない場合もあるし、自分にはなかった視点に気づくこともある。表現するって勇気が要るけど、すげーおもしろい」
部長は小さく笑ったあと、思い出したように言った。
「そういえばさ、ちゃんと聞いたことなかったけど、海人ってなんでカメラ始めたの」



